研究課題/領域番号 |
19K01874
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
塚田 修 千葉商科大学, 経済研究所, 研究員 (90633884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インダストリー4.0 / 生産のデジタル化 / リーン生産方式 / インダストリー3.0 / OEE |
研究実績の概要 |
2022年10月よりリーン生産成熟度、インダストリー3.0、インダストリー4.0の成熟度調査票の項目の設計を開始した。12月末、調査項目について、九州高専 久池井教授と、ブラジル連邦ABC大学のウーゴ教授と合意した。2023年1月ドイツのDortmund工科大学のJoachim Metternich 教授とも合意した。しかし、当該大学での当面の他の課題が多く、学生を雇わないと進められないとの返事があった。2月末、日本の企業20社からの回答が収集できた。ブラジルからは30社からの回答を回収することが出来た。3月10日から28日までブラジルへ渡航し、18社の企業を訪れ議論することが出来た。これらの結果を2023年組織学会全国大会へ登録し、4月14日採択されたとの通知を受けた。 発表予定内容は以下のポイントである。1)ブラジル、日本の企業とも90%以上の企業がリーン生産を実践している。ブラジル、日本企業の成熟度に大きな差はない。デジタル化の時代にあってもリーン生産方式の重要性は変わらないと認識されている。2)インダストリー3.0およびインダストリー4.0について、日本、ブラジル共に実施していると回答した企業が、それぞれ55%,40%と高い数字を示した。しかし、インダストリー3.0, 4.0ともその定義が広く必ずしも同じ理解を示しているとは言えない部分があることが訪問インタビューの結果理解された。3)インタビューした4人の幹部はインダストリー4.0実現のためにはリーン生産は必要かと聞いたところ、全員が必要と回答した。その理由として「標準」と答えた。標準はリーン生産で形成され、これがないとインダストリー4.0の実現は困難と答えた。4)ブラジルでインダストリー4.0を実施していると答えたすべての企業は、総合設備効率(OEE)の測定準備をしている。日本ではないアプローチで今後調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的のための調査が順調に進行(ドイツを除き)している。組織学会全国大会への発表が採択された。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツのTechnical University of Darmstadtとの研究を進める交渉を継続する。ドイツ側はキャパシティが現在ないため学生を雇い進めたいとの意向を示している。6か月で150万円近い数字が出ているので、スコープを減少し20万円で済むように交渉中である。これでほぼ研究費が底をつくので新たな科研費を立ち上げ申し込みを準備することを検討する。今年の夏にはドイツへ出張しDarmstadt大学を訪問し共同研究を議論したい。また、現地の企業を数社訪問、インタビューし状況を確認したい。 現在までの研究内容を英文化しジャーナルへの投稿を準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツへの渡航と調査費用がどのくらいかかるか現在のところ不明である。 インダストリー4.0はドイツ発祥のコンセプトであるのでドイツの教授と議論し、共同研究を行うことは重要なことと考えている。
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備考 |
インダストリー4.0の定義は中小企業経営者にとってはわかりずらい部分がある。本来の狙いは、多工程の連携、他社との連携による顧客価値の創造であるべきであるが、これまで培われたリーン生産方式のQCD向上に集中しすぎの企業が多い。リーン生産方式でのこれまでの成功体験から抜け出せないイノベーションのジレンマに陥っている問題を取り上げた。
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