研究課題/領域番号 |
19K01879
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
森元 伸枝 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (70636422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産業集積 / 制度 / 人材育成 |
研究実績の概要 |
今年度はコロナの影響で、教育(非対面授業対応の授業準備や学生対応)に注力し、研究は全くといってよいほど手を付けることができていない。 地域産業が長期継続的成長にむけてどのような人材育成システムが機能しているのか、それが環境の激変によりシステムがショックを受けたとき、どのような協働によりそのシステムの均衡を維持しようとするのかを明らかにするものであった。研究対象を阪神間の洋菓子産業にし、この約10年にわたり業界を激変させてきた環境、すなわち制度的変化において、企業が維持・成長できているのはどのようなしくみなのか。業界としてはどのような形で対応してきていたのかをインタビューならびに参与観察等から明らかにしていくものであった。 均衡の維持のためには、産業の担い手である各企業の経営者や職人が、地域産業は文化産業であり、自分たちは文化の継承者であるという共通認識が不可欠であることはインタビュー等からわかった。そうした認識のもと、どのような協働により人材育成システムの均衡を維持しているのかを構造的に明らかにしなければならない。しかし、コロナの影響で他府県をまたいではもちろんのことだが、県内のインタビューや参与観察等も難しい状況であったため、明らかにはできていない。 ただ、足を運ぶことが可能であった複数の企業においては、コロナ以前より盛況であり、インタビューとは決して言えないが話を聞いた限りでは、売上は上がっているという情報を得ている。 次年度においては、そうした環境の激変をうまく乗り越えているしくみ、あるいは、激変をうまく利用し躍進できているしくみを人材育成システムから明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
地域産業が長期継続的に維持・成長するためには、産業の担い手をうまく育成し続けることである。特に注目すべきことは、産業を取り巻く環境の激変において、それまで機能していた人材育成システムがうまく機能しなくなったとき、どのような協働によりそのシステムの均衡を維持してきたのかということである。 この均衡の維持のためには、産業の担い手である各企業の経営者や職人が、地域産業は文化産業であり、自分たちは文化の継承者であるという共通認識が不可欠であることはインタビュー等からわかった。 そうした認識のもと、どのような協働により人材育成システムの均衡を維持しているのかを阪神間の洋菓子産業を中心にインタビューならびに参与観察を行う予定であった。加えて、地域産業比較調査対象として奈良や京都のフィールドワーク、ならびに企業へのインタビューを行う予定であった。しかし、昨年度は観光(特にインバウンド)による多忙のためにインタビュースケジュールが合わず、今年度はコロナの影響でフィールドワークやインタビュー、参与観察を行うことができなかった。 加えて、コロナのために教育(非対面授業のための授業準備や学生対応等)へほとんどの時間を費やし、研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、地域産業を文化へと豊穣するという共通認識のもと、どのような協働により人材育成システムの均衡が維持できているのかを構造的に明らかにしていく。 特に今年度できなかった地域産業比較対象地域(近年の環境変化を受けることで和菓子から洋菓子を地域産業化しようとしている京都や「かき氷」というカテゴリーで地域産業化している奈良、さらには、洋菓子を地域産業としてうまく発展させている北海道)での調査をコロナの状況を踏まえながら、地域産業の継続的成長に向けた協働の仕組みを明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナにより当初予定していた研究ができなかったため、経費は手付かず状態である。 本年度に予定をしていたフィールドワークやインタビュー、参与観察等を行うことがコロナの影響で難しい状況になったため、交通費や調査協力・情報提供者や専門家への謝金、さらには、情報収集した資料やインタビューデータの入力等の作業への謝金、データ分析や記録のための電子機器購入などの費用がそのまま残っている。次年度で、コロナの状況や先方との調整のなかで本年度できなかった研究を進め、使用する予定である。また、学会発表の機会を得て、参加費等で使用する予定である。
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