当該年度においては、国内の都市圏の会社員を対象としたウェブ調査をもとに、以下のことを明らかにした。 1)課題特性とバーチャル性認知の尺度の整理:Hackman & Oldham(1975)やHamphrey et al.(2007)を参考に、7つの因子(自立性・多様性・相互依存性・情報処理・問題解決・組織外部との相互作用・不確実性)を想定し項目を準備した。分析の結果、「多様性」「不確実性」「相互依存性」「自律性」の4因子が抽出され、これらの4因子が国内の企業での課題特性として機能していることが推測された。そして、チームにおける情報通信技術の活用に伴い,チームのバーチャル性認知も検討した。分析の結果、チームにおける「テクノロジーの活用度」「同期性」「メディアリッチネス」の3因子が抽出された。 2)チーム学習への影響:学習するチームは、チーム内で信頼を形成し、相互にモニタリングしながら、チーム活動の振り返り(リフレクション)を行っていると想定し、その影響過程を検討した。分析の結果、信頼とモニタリングのいずれも、チームリフレクションに正の影響を与えていた。 3)企業規模の影響:課題特性、バーチャル性認知、チーム学習の影響過程を検討した結果、企業規模によって影響過程が異なることが示された。これはマクロレベルでの組織の規模が、チーム内の相互作用に影響を与えるマルチレベルな視点の重要性を示唆している。 今回の分析結果を今後成果として報告していくとともに、追加で実施した調査の分析と報告も進めて行く予定である。
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