研究課題/領域番号 |
19K01887
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡嶋 裕子 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (50761649)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ワークライフバランス / ライフステージ / 家庭 / 労働意欲 / 幸福度 / 職場管理 / 管理職 / 女性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、職業および私生活でのステージの変遷とともに労働意欲の変遷について、個人要因と組織要因の双方を踏まえた統合的分析を行うことにある。10年超に渡る個別企業の従業員の追跡データによる分析と、複数企業のクロスセクション・データによるコーホート分析とのミクロ・マクロの分析アプローチから従業員の職務満足や幸福度についての考察を行う。 課題1については、分析データである個別企業のアンケートデータと人事マイクロデータの収集を継続(最新データの追加収集)、ライフイベントデータのクリーニングとデータ整備を進め、職業生活(ワーク)イベントデータ化の一部を完了した。2020年度後半には、ワークおよびライフのステージ変遷と労働意欲についての基礎分析を行った上で、ワークおよびライフイベントデータを統合した12年分のパネルデータを用いて一次分析を行った。 課題2の複数企業のデータによる分析については、クロスセクション・データの限界と様々な産業・企業に就労する多様な属性の人々のデータを分析するための分析準備および分析手法の探索を継続した。企業調査を行う研究グループに継続参加し、ワークライフバランス施策やその他の人事管理制度の運用実態について、調査および情報収集を行った。2020年度後半はテストデータによる分析を行い、分析モデルおよび分析手法の改良を検討した。さらに、追加入手した新規調査を含む企業調査データについても確認と整備を進め、分析モデルの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1の個別企業データの分析においては、2020年4月からのCOVID-19の感染拡大と非常事態宣言を受け、夏季に予定していた人事管理制度の運用や組織要因等を含むソーシャルサポート要因についての現地調査や聞取調査を実施できなくなり、研究計画の変更が必要となった。2020年度後半には、ソーシャルサポートに関連する情報について別調査で補完的に取得する代替方法を検討した。WLB関連の調査報告書や先行研究による文献調査と追加分析モデルの検討を行った。ソーシャルサポート要因および属性以外の私生活影響要因の取得するために、追加的に実施するアンケート調査の項目案を検討した。また、予備分析として行った職場における管理監督職と部下パフォーマンスの関係についてアンケートデータと人事マイクロデータを統合した分析研究については論文化され"Do “boss effects” exist in Japanese companies? Evidence from subordinate and supervisor matched panel data"については、Asian Economic Journalに掲載予定である(現在校正中)。 課題2の複数企業のデータによる分析については、テストデータによる分析手法の探索を継続し、分析を試みた結果を得た。2020年度後半には、さらに追加入手した新規調査を含む企業調査についてのデータの確認と整備を進め、追加分析モデルの検討を行った。今後、追加分析結果を本分析のモデルや解釈に反映し、再分析をする必要があるため、当初予定していた課題2に関する研究成果についての論文執筆には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
課題1の個別企業データの分析において、人事管理制度の運用や組織要因等を含む、外部要因についての現地調査や聞取調査の遂行が困難な状況が引き続き予想されるため、実施計画を見直し、次年度に背景要因等を探るためのアンケート調査等で代替する方向で検討する。 課題2の複数企業のデータを用いた分析については、分析結果やその解釈を補強するために、両立支援制度と労働意欲や生活満足などについての分析作業を進める予定でおり、その分析結果を本分析データの分析モデルに反映させ、分析内容のさらなる精緻化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
課題1の個別企業データの分析において、人事管理制度の運用や組織要因等を含む、外部要因についての現地調査や聞取調査の遂行が困難であったため、旅費および調査関連費用については2020年度は支出しなかった。2021年度も同様の状況が引き続き予想されるため、実施計画を見直し、次年度に背景要因等を探るためのアンケート調査等で代替する方向で検討しており、アンケート調査実施費用に充てる予定である。
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