研究課題/領域番号 |
19K01888
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
春山 繁之 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授 (10416505)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 特許情報分析 / ことづくり / ものづくり / マッチング手法 / イノベーション / コア技術 |
研究実績の概要 |
イノベーションの創出には,社会(市場:こと)変化と技術(製品:もの)変化をマッチングさせた「ことづくり・ものづくり」が重要であるが,「ことづくり」と「ものづくり」をどのようにマッチングさせていけば良いかという課題については問題が残されている.申請者は,特許情報のマクロ分析から①「こと予兆」,②「イノベーションの状態」,顧客価値から③「コア技術」をそれぞれ分析し社会の「こと」「技術の状態」と「もの」を提供する企業の「コア技術」の所有状況から製品開発の方向性を示すアクションプランを論理的に導く,④「ことづくり」「ものづくり」マッチング手法を確立する.そのために必要な理論モデルの作成や検証など系統的な検討を計画し,その中で必要となる各課題を研究する.具体的には,「ことづくり」と「ものづくり」をどのようにマッチングさせていけば良いかという課題を解決する必要がある.課題解決のためⅠ.「こと予兆」の分析手法,Ⅱ.「イノベーション状態」の分析手法,Ⅲ.「コア技術」の明確化手法, Ⅳ.「ことづくり」と「ものづくり」のマッチング手法をそれぞれ研究し課題解決することで,社会の「こと」「技術の状態」と「もの」を提供する企業(組織)の所有(取得)する「コア技術」から製品開発の方向性を示すアクションプランを論理的に導く,「ことづくり」「ものづくり」マッチング手法の確立のため,初年度検討した理論モデルを元に、大手電気メーカー1社、中小企業3社の事業・製品に関するイノベーション状態とコア技術について実証評価を進め、それぞれの状態の整合性と信頼性を検討した。また、研究成果の一部は論文として国際学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で示した,ロードマップの通り概ね順調に進んでいる.具体的には,ICOEMRA2020(International Conference on Mechanical Engineering Research and Application)において3件の成果発表を行った。それぞれの概要は 1)特許情報をもとに対象とした製品の技術トレンドを分析し、イノベーションの状態を評価した。 2)ニッチトップ企業の持続的成長に影響を及ぼした因子とそのプロセスの重要性を示した。3)特許情報からドミナントデザインの発生を予測・評価する手法を示した。さらに4)Technology S-Curveについてproduct innovation,process innnoveationの観点から評価する手法を新たに提案した。 しかし、コロナの影響で、企業に出向いて具体的な製品アーキテクチャー、工程アーキテクチャーの分析、イノベーションプロセス評価のヒアリングが進まず、苦慮している点もある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ことづくりものづくりマッチング手法を確立するため①市場における「こと予兆」の把握手法、②イノベーション状態の分析手法、③コア技術の明確化手法、についてそれぞれ検討・評価した結果を元に製品開発の方向性を示すアクションプランを論理的に導くことづくりものづくりマッチング手法の確立を目指す.具体的には,①②③の分析をもとに明らかにした社会の「こと」「技術の状態」と「もの」を提供する企業(組織)の所有(取得)する「コア技術」から製品開発の方向性を示すアクションプランを論理的に導く,ことづくりものづくりマッチング手法を確立する.また,アクションプランの作成にあたっては,企業(組織)のビジョンやコアコンピタンス,経営方針・戦略などの選択により条件が異なるため,各種条件への対応が必要である.その結果,研究成果として製品開発の方向性を示すアクションプランを提供することを予定している。一部、企業における調査等で進捗に影響を与えることも考えられるが、適時創発的に対応を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延により、国際会議がweb開催となったことや国内での研究調査活動をweb調査塔に切り替えたことにより旅費の執行が減額となったため、しかし、今年度は中止していた企業における工業設備の調査等を実施する予定である。計画に対しては柔軟に対応しており、全体計画としては大きな支障は出ていない状況である。
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