2022年度は、技術受容性を測定するUTAUT( Unified Theory of Acceptance and Use of Technology )モデルとソフトウェア/システムの機能品質を評価するISO25010モデルをベースに、構造方程式モデリングによっていくつかの仮説を設定した。データ収集は、2022年5月に中国と日本の製造業でIT技術に携わる従業員にアンケートを実施した。新技術として位置づけられるIoT活用に対する従業員の意識を、パフォーマンス期待、努力期待、促進条件、品質追求の観点から定量的に検証し、IoT技術の導入意図に影響を与える要因について考察した。研究結果として、日本と中国の製造業従業員との間、日本の製造業の異なる間でIoT受容意向に影響を与える要因が異なることを示した。 研究期間全体を通じて、3つの観点での研究を実施した。第一に、6つのTQM要素→(ガバナンス、革新的能力、マーケティン能力)→成果の因果関係モデルを構築した。タイにおける中小企業、日本の製造業の比較において、タイでは戦略的計画とプロセス管理が中間的要素と成果指標に強く影響を与えていること、日本においては、戦略的計画、顧客指向、ナレッジマネジメントが成果指標に影響を与えていることを示した。第二に、近年のコロナ禍、在宅勤務満足度の向上がマネジメントの重要課題となっていることに着目し、コロナ禍独特の在宅勤務満足度に関連する在宅勤務の不安や意義、さらに、外部パートナーとの連携などの要因を含む影響を検証し、在宅勤務満足度向上に関する知見を得た。第三として、技術受容性、ソフトウエア/システム品質、IoT受容意向、品質や経営成果、外部パートナーとの連携の関係性のモデルの検討し、日本と中国の製造業従業員の間で比較分析を行った。
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