研究課題/領域番号 |
19K01897
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
内藤 陽子 東海大学, 経営学部 経営学科, 准教授 (80710912)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 従業員移動 / 知識移転 / 組織定着 / 人的資源マネジメント |
研究実績の概要 |
会社の持続的成長と事業運営の活発化のためには、従業員の知識を移転し、活用することが重要である。従業員移動はその知識移転を向上させると想定されているが、従業員移動と知識移転についての理論的な説明はこれまで不十分であり、従ってそれを強化することが必要だ、と主張されている。それに応えるために、本研究では国際間を移動する従業員(クロスボーダー人材)とその知識移転にフォーカスしてきた。特に今年度は、従業員移動の一形態である海外派遣の後の帰任者を対象として、その知識移転と組織定着を両立させるための理論の構築を進めた。 先行研究レビューを進める中で、移動する従業員の中で、会社から海外に派遣された後に帰国した帰任者は、移動前と後の組織での経験を保有しているが故にそこでの知識移転の担い手として適任であることが分かった。また、従業員移動研究においては、移動者による組織への知識移転に関する研究と移動者の新組織への定着(適応や社会化を含む)に関する研究という2つの流れがあり、それらの研究は各々蓄積されてきている。しかし、帰任者を含む移動者による知識移転と、その移動者の組織定着との関係を正面から取り上げて論じている研究は管見の限り見られない。そのため、従業員移動研究において、移動従業員による知識移転とその組織定着の両立を進めるための理論は構築されておらず、両者がどのような関係にあるのかは当然不明瞭となり、その結果この分野の理論的な基盤が脆弱になっている。そこで、従業員移動における知識移転の円滑化についての理論の構築を最優先課題に設定して、まず移動従業員の中でも知識の移転者として適任である帰任者に対象を絞り、知識移転と組織定着の関係を確定させる研究を行ってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォローすべき先行研究の範囲が当初の予想以上に広がったため、その精読に時間を要したが、関連する研究の全体像を見渡すことで、新たな論点やアイデアをかなり導出することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度行った研究については知識移転と組織定着の関係を確定させ、来年度中に学術雑誌に論文として投稿する。また、この研究と関連させて進めてきた移動従業員による知識移転フローの研究は、大まかな構成まではできたので、来年度に内容を詰めた上で文章化に取りかかり、2023年度に投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の費用は所属先(大学)から支給された特別研究期間研究費からも充当し、また前年度までの研究計画変更に伴い、かなり余剰額が生じている。その分は来年度以降の費用に充てることとし、最終的に余剰が出た場合には返還する。
|