研究課題/領域番号 |
19K01900
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
石井 正道 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (60356277)
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研究分担者 |
矢本 成恒 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (10635775)
亀倉 正彦 名古屋商科大学, 商学部, 教授 (60329688)
柳 承辰 名古屋商科大学, 経営学部, 講師 (80580307)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アントレプレナーシップ / 予測 / 不確実性 / Creation型 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Creation型とDiscovery型の2つのアントレプレナーシップの間で、ネットワーク活動に関して違いを明らかにし、アントレプレナーシップにお けるネットワークのマネジメント方法に関する知見に貢献することである。 インタビュー調査を実施する準備のために、サンプルを客観的に分類する手段を確認するために調査を行った。Creation型とDiscovery型を分類するための違いの一つに不確実性への対応がある。先行研究によると、Creation型は「手持ちの資源でできることから行う」control-based strategy (予測をしない)が行われていると考えられている。この点について、以前研究したCreation型アントレプレナーの記録を見てみると、アントレプレナーが予測をしており、prediction-based strategyをもとに事業機会を創造していることがわかった。例えば、リチウムイオン二次電池を生み出した吉野彰は、当時伝導プラスチックを使って新製品開発を検討し、電池を含む複数の研究開発テーマを考えていた。電機メーカーにインタビューをし、外に持ち出す製品が増えることを聞き、2次電池の需要があると予測し、2次電池の研究に取り組んだ。先行研究の主張とは違うのである。このことは、名古屋商科大学紀要に論文「アントレプレナーシップと予測」(2023年3月)に掲載した。 ポイントは、アントレプレナーの予測行為について、先行研究は既存の理論をベースに演繹的にCreation型は予測をしない、としているだけで、実証データがほとんど示されていないことだ。今後の研究としては、アントレプレナーの予測行為に焦点を当て、まずはいつ、どのような予測を、何のために行うのか、実態を把握するとともに、共通する法則性があるのかどうかを調査検討することを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナによってインタビューができないことが一番の原因である。次に挙げられるのが、研究実績の概要にも記述したが、インタビュー時に必要となるサンプルをCreation型かDiscovery型に区別する要素について、先行研究に問題が見つかったため、研究の方向性を変えることになったことも、全体としては研究の遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向としては、アントレプレナーの予測行為に焦点を当て、まずはいつ、どのような予測を、何のために行うのか、実態を把握するとともに、共通する法則性があるのかどうかを調査検討することを考えている。研究手法としては5から10程度の成功したアントレプレナーを対象に、予測活動に焦点を当ててインタビュー調査を行うことが考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集するためのインタビュー調査がコロナによって実施できなかったことと、研究の主な活動が文献調査と思索になったため、あまりお金を使うことがなかった。 さらに、Cration型とDiscovery型は判別するための1要素である、アントレプレナーの予測行為について先行研究に問題があることを見出したため、アントレプレナーの予測行為を対象として新たに研究に取り組む必要性が出てきた。 次年度の研究計画しては、アントレプレナーの予測行為に焦点を当て、まずはいつ、どのような予測を、何のために行うのか、実態を把握するとともに、共通する法則性があるのかどうかを調査を行う。具体的には5から10程度の成功したアントレプレナーを対象に、予測活動に焦点を当ててインタビュー調査を実施する。またこの結果を論文としてまとめ、査読付き海外学術誌や国際会議に投稿する予定。 次年度の使用計画としては、インタビュー調査に関連する出張費、インタビューのテープ起こし費用、論文を英文化する時の校正費用、関連する国際学会への参加に伴う費用、などがある。
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