研究課題/領域番号 |
19K01908
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
川路 崇博 久留米大学, 文学部, 准教授 (90554246)
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研究分担者 |
姜 理惠 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (90570052)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 承継外子女 / アントレプレナー / 起業家 |
研究実績の概要 |
親や親族から事業継承をせずに自ら起業した「承継外子女」に対し、その特徴と成功要因を明らかにするために、半構造化インタビューとその質的分析(GTA分析)を実施し、EOと組織パフォーマンスモデルを用いて、起業プロセス・成功要因のプロセスを解明しようとしている。 起業家の育成は喫緊の課題とされ、様々な取り組みが熱心に行われている。しかし、日本の新規開業率は極めて低水準に止まっている。一方で、国内の女性経営者を対象にした調査ではあるものの、親が経営者だったとの回答が56.9%を示す調査もあるなど、承継外子女がもつ起業家ポテンシャルを示す研究がみられる。しかし、これまで承継外子女は研究対象とはされてこなかった。 地域経済で人的ネットワークを築くにあたり、ファミリーを背景にした起業家活動によって、承継外子女起業家が地域経済の主導的立場にいることが観察されている。このことから、承継外子女の起業活動は活発であることが予想される。そこで、実際の起業家のうちの割合や起業に至たった経緯・背景にどのような理由があるかを探索する。 承継外子女の特性と成功要因を探索するために、まず福岡県の承継外子女に対しインタビューを実施した。福岡県とした理由は、厚生省の調べによると福岡市の起業率(開業率)は全国一であり、また福岡県でも沖縄県を除くと西日本一であるためである。現在、11名への半構造化インタビューならびに、質的分析(GTA分析)を実施している。 結果、承継外子女の特性は次のようにまとめられた。1) 独立志向が高く、2) 置かれている現状を積極的に利用し、3) 初期のビジネスに関してはアイデアレベルまたは何もない状態で起業していた。また、家族の影響は強く、時には家族のビジネスの困難を克服することも目標となっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福岡県の承継外子女11名に対して、非構造化インタビューを完了し、質的分析(GTA分析)も順調に進捗している。まず承継外子女の特性に関してまとめ、The International Family Enterprise Research Academyが開催する国際会議IFERA 2020へ成果を投稿している。新型コロナウイルス感染症の影響から会議は中止されたが、プロシーディングスが発刊されこれに採録が予定されている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、承継外子女と事業者の企業行動の相違点を明らかにし、さらに承継外子女の行動はファミリー環境(家庭環境)によってもたらされいるかどうかを明らかにする。 成果の発表に関しては、今後も新型コロナウイルス感染症の影響から、国内・国外の研究発表がキャンセルされたり、オンライン化されたりする可能性がある。また、データの収集に関しては、これも同じく新型コロナウイルス感染症の影響から遅延の恐れがある。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品として購入予定であった、PCを1台減らしたことと、インタビュイーに対して謝金の支払いが発生しなかったことが理由となる。使用計画は成果の機会を増やすため、学会参加費用に充当する予定である。
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