2021年1月、11月、12月に某大学病院の1病棟を対象として、スタッフステーションの日勤帯看護師の集中力を評価するための実測調査を行った。スタッフステーション内で頻繁に鳴るナースコールおよび心電図モニターの音が鳴ることから、集中力の低下および精神的なストレスが課題である。当該調査ではナースコールの発生頻度および、看護師の主観的・客観的な集中力の評価を実施した。2022年度は得られたデータの解析し、日本建築学会環境系論文集の執筆を行った。得られた結果は以下の通りである。 ナースコールの呼出回数および呼出音が鳴り続ける時間と作業中断回数との間にはやや強い正の相関が見られた(R=0.47、0.34)。また作業中断回数と動的姿勢増加率との間にも同様にやや強い正の相関が見られた(R=0.38)。このように、ナースコールの呼出回数と呼出音が鳴り続ける時間などの外乱により集中力低下することが示唆された さらに、実測期間中にスタッフステーションに集中ブースの設置を行い、集中力等の変化を調査した。集中ブース設置により「作業への集中」「リラックス」はしやすいと回答する被験者が多くなったが、「コミュニケーション」「創造的思考」についてはしにくいという回答が多かった。 今後の展開として、夜勤帯勤務の看護師に対象を移して調査を進めている。夜間の労働によりサーカディアンリズムが乱れることで、慢性的な疲労や日中の眠気が報告されている。慢性的な疲労により離職にもつながっていることも報告されている。2023年1月に夜勤帯勤務の病棟看護師にアンケート調査を行い、看護師のストレス状態および病棟の環境満足度を把握した。今後は夜間のスタッフステーションおよび仮眠室の環境測定および看護師の仮眠の状況、ストレスの評価を行う予定である。
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