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2019 年度 実施状況報告書

創造性発揮の心理的メカニズムと心理的資本に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01914
研究機関大阪大学

研究代表者

開本 浩矢  大阪大学, 経済学研究科, 教授 (90275298)

研究分担者 厨子 直之  和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40452536)
井川 浩輔  琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (80433093)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード心理的資本 / 希望 / エフィカシー / 楽観 / レジリエンス / 人的資源管理
研究実績の概要

本年度は、まず、分析モデルの中心的概念である心理的資本の妥当性を検証することを中心に研究を進めた。心理的資本について、我が国においてはその概念に関する本格的な実証研究がいまだ行われていない。したがって、本研究では心理的資本の測定尺度の日本語化を含む概念の整理と操作化を行い、概念の妥当性を検証することが最優先の課題であると考えた。具体的には、当該分野の代表的な研究蓄積(Luthans,F.et al.(2007)など)を中心に関連学術論文を幅広く渉猟するとともに、その批判的検討と整理を行った。その結果、心理的資本という中核概念が、エフィカシー、ホープ、オプティミズム、レジリエンスという4次元から構成される高次構成概念であることが確認された。一方で、こうした4次元構造が我が国のフィールドでは十分に検証されていないことも明らかになった。特にホープとオプティムズムに関してはその弁別性に疑義があることも示唆された。加えて、心理的資本を構成する次元のうち、エフィカシーは内発的モチベーションを規定する要因であることも明らかになった。
また、心理的資本の測定尺度(Psychological Capital Questionnaire;PCQ24など)が提唱されているが、その翻訳とともに内容的妥当性をチェックするためのヒアリング調査を行った。ヒアリング調査ついては、研究代表者を中心に、民間企業の人事担当者や人事関連サービスを展開するコンサルティング企業の担当者に対して行った。ヒアリングの結果、心理的資本の重要性については、実務家からも概ね合意が得られたことから、我が国においても心理的資本概念の有用性やその重要性が確認された。一方で、企業フィールドでは心理的資本概念がほとんど利用されていないことやその測定尺度の必要性についても確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究において、われわれは、研究目的を達成するために、研究機関において以下のプロセスを中心に研究を遂行していく予定であった。第一に、分析モデルの中心的概念である心理的資本の妥当性を検証することである。心理的資本について、我が国においてはその概念の本格的な学術的研究が行われていないことから、まずは心理的資本の測定尺度の日本語化を含めた概念の整理と操作化を行い、概念の妥当性を検証することが研究遂行上
必須であると考えた。本年度はそうした研究上の必要性を踏まえ、心理的資本に関する欧米の先行研究の中から、代表的だと考えられる研究書籍や研究論文を中心に幅広くレビューを行った。
また、心理的資本の概念については、実務上の重要性を確認するために、複数の民間企業の人事担当者や人事関連のコンサルティング企業の担当者にインタビュー調査を行った。
以上のように研究計画の初年度に予定していた心理的資本という中核的構成概念に関する先行研究レビューと初期的なインタビュー調査を行うことができたことから、当初の計画通り研究は進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

本年度の研究進捗が計画通り順調であることから、次年度以降の研究計画の大幅な変更は必要ないと考えている。
本年度は心理的資本という中核的構成概念に関する文献レビューを順調に行えたが、理論的飽和までは至っていないことから、次年度も引き続き必要な文献レビューを行う予定である。特に心理的資本と望ましい成果や業績との関係性を定量分析した先行研究を中心に文献を追加的にレビューする予定である。また、次年度はパイロット的に我が国の企業組織における心理的資本の測定とその業績に与える影響を定量的に測定することも予定している。
さらに、本年度および次年度の文献レビューの成果をまとめ、書籍や論文などの形で公表することも計画している。
こうした基盤となる研究を重ね、次次年度以降の本格的定量調査につながる研究成果を蓄積していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

3月の研究打ち合わせ実施に伴う旅費の執行予定が新型コロナ対応のため中止となったため、わずかだが次年度使用額が発生した。
次年度に、本年度執行できなかった旅費の執行を予定している。ただし、新型コロナの感染状況によってはオンライン会議など代替的な手段での打ち合わせを行うため、他の費目での執行となる可能性もある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 目標管理制度の運用と従業員の内発的モチベーションの関係2019

    • 著者名/発表者名
      塩月顕夫,三原祐―,古屋順,敦奎利,開本浩矢
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 709 ページ: 86-100

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「組織を背負う意識」の弁別性、効果および規定要因に関する考察2019

    • 著者名/発表者名
      中村彰芳,長縄孝久,湯口亮太,神洋子,開本浩矢
    • 雑誌名

      Discussion Papers ln Economics And Business

      巻: 19-9 ページ: 1-14

    • オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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