研究課題/領域番号 |
19K01915
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大坪 稔 九州大学, 経済学研究院, 教授 (90325556)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 企業グループ / 親会社 / 子会社 / 上場子会社 |
研究実績の概要 |
本年は、2001年から2020年の長期間を対象とし、日本の全上場企業を対象とした親会社ー子会社間の企業グループに関する実証分析を行った。周知のように、上場企業の多くが子会社を有し、親会社と子会社から構成される企業グループとして事業活動を行っているが、親会社が担う事業の程度や非支配株主の有無という点で企業グループの様態は異なっている。日本の企業グループに関する研究については、2000年以前については分社化による企業グループの形成、分社化の目的として規模の不経済への対処や人件費の削減や関係特殊的投資の促進などが主張された。また、2000年以降については、2000年代にかけて子会社の利用が拡大したことや分社化よりもM&Aにより子会社が増加していることなどが指摘されている。 しかしながら、これらの研究は分社化や子会社数など企業グループの一側面に焦点を当てたにすぎず、企業グループの様態を直接的に分析対象とはしていない。さらに、2010年以降を対象とした実証分析については著者の知る限り、存在しない。そこで、本稿では日本の企業グループの様態について実証分析を行った。 その結果、日本企業は2001年以降、子会社の事業割合も非支配株主持分も高めてきた点、買収や持株会社の採用などが総資産連単倍率を高める一方、分社化は影響を及ぼしていない点、非支配株主持分については、上場子会社数や買収数、グループ内買収がプラスの影響を与えている一方、子会社の株式取得がマイナスの影響を与えていること、なかでも上場子会社の存在が最も非支配株主持分の割合に強く影響を与えている点などが明らかとなった。 なお、この研究は、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる分析対象である企業グループについて長期間・網羅的に文背を行うことができている点においておおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、企業グループにおいて子会社が生成されるプロセスに着目し、生成プロセスの違いが親会社の企業価値に及ぼす影響について分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
依然として、コロナの影響から、当初予定していた出張を伴う資料収集が十分にできなかったことから、次年度使用額が生じた。
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