研究課題/領域番号 |
19K01917
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
吉永 崇史 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (40467121)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 組織開発 / 組織行動 / ナラティブ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナラティブ・アプローチに基づく組織開発に求められる組織行動とは何かについて明らかにすることである。近年のICT(情報通信技術)やAI(人工知能)技術の著しい発展や、急速に進むグローバル化において、組織が長期的な持続を図ろうとするためには、絶え間ない組織開発が不可欠である。不確実性の中からイノベーションを実現するための組織開発に求められる組織行動について、実証的に明らかにする。 2019年度においては、以下の3つの成果を得ている。 1.組織やコミュニティの開発における実践および研究アプローチについて検討を行った。 2.横浜市立大学の学部教育の一環である「吉永ゼミ」の実践に基づき、対話型組織開発の実際のプロセスについて明らかにする研究に着手した。吉永ゼミで取り入れている3つの実践である、1)ダイアログ、2)リーダーシップ開発プログラム、3)プロジェクト・マネジメント(能力)開発プログラムを取り上げ、これらの実践と、ゼミ内外でのコラボレーションの促進、共有価値観の構築、多様性の尊重、相互扶助、知識共有と知識創造との関連性、さらに、組織社会化、組織アイデンティフィケーション、組織的支援についての認知(POS)、組織市民行動(援助)の観点から、対話型組織開発の意義についての考察を今後試みる。 3.智頭町をフィールドとした対話型コミュニティ開発についてのアクション・リサーチを実施するにあたって、その意義と課題について検討を行った。その意義とは、望ましい社会像を共有しながら、地域の人びとと“よそ者”である学生や研究者が継続的に対話していく社会実践を行うことである。その実践を行うにあたっての課題としては、現地の人びとと学生・研究者とをつなぐコーディネーターの負担軽減、実践を内省することについての学生に対する教育手法の確立、オンライン・ツールを活用した対話実践の持続性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の学術的問いは、「ナラティブ・アプローチに基づく組織開発に求められる組織行動とは何か?」である。その問いに対して組織行動論の観点から明らかにするために、さらに、以下の3つの下位の問いを設定する必要がある。ナラティブ・アプローチに基づく組織開発に求められる、1)リーダーシップとは何か? 2)フォロワーシップとは何か? 3)外部専門家による効果的なコーチングとは何か? 本研究では、これらの問いに対する答えを明らかにすることを目的とした実証的な調査を実施する必要がある。当該年度においては調査対象組織・コミュニティの開拓を行い、神奈川県内の病院、横浜市内でのイノベーション・エコシステム、鳥取県智頭町での協議会、横浜市立大学吉永ゼミ、アクション・リサーチを実施する目処が立っている。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために一定の社会的距離を保ちながら当該リサーチを実施する必要があるため、大幅な研究活動の見直しが必要とされている。
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今後の研究の推進方策 |
アクション・リサーチの遂行にあたり、新型コロナウイルスの感染拡大防止に十分な注意を払う必要がある。感染拡大防止のためには、Social Distancingが効果的であるとされるが、そのためには、オンラインを活用したアクション・リサーチの方針を早急に確立する必要がある。また、調査協力組織・コミュニティにもオンラインでアクション・リサーチを実施する理解を得る必要がある。また、オンライン上での組織行動への急激なシフトが行われることで、計画当初では想定していなかった組織行動にフォーカスする必要があるかもしれない。研究計画時に想定した組織行動(リーダーシップ、フォロワーシップ、コーチング)にとらわれることなく、アクション・リサーチを遂行する必要がある。
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