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2021 年度 実施状況報告書

創造的成果の予兆となる組織メンバーの日常的ネットワーキング行動の探求

研究課題

研究課題/領域番号 19K01923
研究機関法政大学

研究代表者

永山 晋  法政大学, 経営学部, 准教授 (10639313)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード創造性 / 日常行動 / 移動 / 概念 / ウェルビーイング / エンゲージメント / イノベーション / 機械学習
研究実績の概要

本年度の主な実績は二つある。
一つは、『組織科学』第54巻第4号に2021年6月に招待論文として掲載された「現実の説明と制御:社会科学における機械学習の活用」である。本論文は、社会科学への機械学習の応用方法を明らかにすることを目的とした。具体的には「現実の説明」を目的とした研究と、「現実の制御」を目的とした研究に分けて既存研究を整理するとともに、その応用における課題を整理した。ここで、現実の説明を目的とした研究とは、被説明変数を特定の変数で説明するように、研究者が研究対象(現象)を説明することを主要な目的とした研究である。現実の制御を目的とした研究とは、研究者が調査対象に介入し、何らかの望ましい状態に誘導することを目的とした研究である。「現実の説明」を目的とした研究群については、測定、予測、因果推論の3つの活用方法について議論した。他方、「現実の制御」を目的とした研究群については、最適化と拡張という2つの活用方法について議論した。以上が主な貢献点である。
もう一つは、IIRサマースクールでの招待研究発表「職場の地理的柔軟性とジョブパフォーマンス:創造性、エンゲージメント、ウェルビーイング」である。本発表は、前年度に実施した調査データを追加分析し、コロナ禍以降一般的となってきた日常的な多拠点勤務がナレッジワーカーの職務パフォーマンスにどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした。機械学習を伴うマッチングを使った二重頑強推定を用いた分析の結果、多拠点勤務は仕事への関与、創造性、ウェルビーイングにそれぞれ正の関係をもつことが明らかとなった。また、多拠点勤務と仕事への関与の関係はエージェント的活動によって媒介され、ウェルビーイングはオーセンティックな活動によって部分的に媒介されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題は、創造的成果創出の予兆となる日常行動を明らかにすることを目的としている。コロナ禍の影響から事前に計画していた調査が実行できなかったため、前年度から調査の視点を変えて日常行動と創造性の関係を明らかにすることとした。具体的には、日常行動の一つとして「移動」と 「働き方の多様性」に着目した。
本年度は、上記研究実績にも言及したとおり、日常行動としての多拠点勤務とナレッジワーカーのパフォーマンスの関係を明らかにすることができた。まだ追加分析を要するため、結果は変わる可能性があるものの、事前に構築した仮説の通りの結果を得ることができた。また、その効果もかなり頑強なものであった。なお、事前に構築した仮説は、分析結果を得たあと仮説を構築するHARKing(hypothesizing after the results are known)を避けるべく、AsPredictedに仮説を登録済である。しかしながら、本年度の目標としていた論文投稿まで至らなかった。
他方、本年度は、機械学習の活用に関する論文を掲載することができた。本成果は、招待論文という特性上、当初の計画の予定外のものであったが、既存研究が用いていた手法を整理する機会を得たことで、上記の実証研究にもその知見を活用することができた。
なお、コロナ禍で研究が一時滞ったため、本課題は1年間延長を行っている。この延長期間を通じて得られた分析結果をもとに英文査読誌の投稿に向け執筆活動を行っていきたい。
以上から、追加分析を行うことで一定の研究成果を得ることができ、その分析手法の延長線としての研究論文を掲載することができたため、本課題はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

多拠点勤務とナレッジワーカーのパフォーマンスに関する研究については、既に研究発表を行い、コメントをもらっているため、2022年度中に、英文査読論文誌に投稿する予定である。
論文投稿にあたって必要な活動は、追加分析の実施と実際の論文執筆である。
まず、追加分析については、既に方向性が固まっており、軽微なものであるため、代表者自身が分析を行う予定である。
次に、論文執筆については、特定の日程を執筆時間として確保することで解決したい。また、現在、ノートPCを使って執筆作業を行っているが、この作業を効率化するため、ある程度大きなディスプレイを購入したい。さらに、なるべく投稿先のフォーマットに関する調整作業に時間を割かないように、プレミアム英文校正サービスを利用して論文執筆を推進したい。なお、無事投稿論文が受理された場合、積極的にオープンアクセスに関わる費用を研究費から負担したい。
また、依然としてコロナ禍が継続しているため、たびたび子供の通っている保育園が急遽休園となっている。必要があれば、研究推進を行うため、ナニーサービスを活用することを検討している。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍によって研究実施内容の継続が困難になったことから、計画内容の一部変更、研究期間を延長する必要があった。
とりわけ、海外研究発表などの旅費に関する用途がなくなったことが、使用額に大きな差が生じた原因である。他方で、新たな研究計画にもとづく、研究活動の実施、リモートワーク環境の整備、子供の保育園休園によるナニーサービスの利用などの費用が発生した。これらの理由から計画と使用額の差が生じている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 現実の説明と制御:社会科学における機械学習の活用2021

    • 著者名/発表者名
      永山晋
    • 雑誌名

      組織科学

      巻: 54 ページ: 44-58頁

    • DOI

      10.11207/soshikikagaku.20210715-4

  • [学会発表] 職場の地理的柔軟性とジョブパフォーマンス:創造性、エンゲージメント、ウェルビーイング2021

    • 著者名/発表者名
      永山晋
    • 学会等名
      IIRサマースクール
  • [備考] 永山晋

    • URL

      https://www.susumu-nagayama.com

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公開日: 2022-12-28  

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