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2021 年度 実施状況報告書

オープンイノベーション時代における「選択と集中」と「範囲の経済」のジレンマの研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01933
研究機関関西学院大学

研究代表者

玉田 俊平太  関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (60312790)

研究分担者 池田 新介  関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (70184421)
岡田 克彦  関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (90411793)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードオープン・イノベーション / 資本資産評価 / インバウンド型オープン・イノベーション / アウトバウンド型オープン・イノベーション
研究実績の概要

高度な技術を応用したり様々な分野の新技術を組み合わせることが必要なタイプの製品の開発を行う場合、一企業内で閉じて全ての技術を賄うのではなく、他組織などとの連携によって最適な製品開発を効率的に推し進める「オープン・イノベーション」が経営戦略上重要となってきている。
Gassmann and Enkel [2004] はオープン・イノベーションを組織間で行き交う技術情報の送り手と受け手の観点から分類し、以下の3類型を示した。外部から知識・アイデアを取り込む「インバウンド型」(アウトサイド・イン型),社内の知識・アイデアを外部に提供する「アウトバウンド型」(インサイド・アウト型)、社内・社外の双方向でのやり取りを行う「カップルド型」の三つである。
2021年度は、オープン・イノベーションにおけるインバウンド型とアウトバウンド型という活動類型の有無が、企業の収益にどのような影響を与えるかを調査した。企業のオープン・イノベーション活動を把握するデータとして、文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施した「民間企業の研究活動に関する調査」アンケートの2008年から2018年の回答を用いた。
分析の結果、インバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益に対して有意にプラスの影響を示したが、アウトバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益には影響を与えていないことが示された。これは外部の技術を積極的に取り込んで開発を実施するインセンティブが企業にあるのに対して、自社技術を積極的に外部に提供するインセンティブが無い、もしくは非常に弱いことを示唆している。すなわち、オープン・イノベーション活動を通じた生産性向上の課題として、企業が死蔵している技術情報の公開促進等の政策課題があることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、出張が制限され、一橋大学にあるデータベースにアクセスすることが出来なかったため、研究の遅延が発生している。

今後の研究の推進方策

今年度を研究の最終年度とすべく、遅れの回復に努める。具体的には、2021年度に引き続きオープン・イノベーションにおけるインバウンド型とアウトバウンド型という活動類型の有無が、企業の収益にどのような影響を与えるかを調査する。企業のオープン・イノベーション活動を把握するデータとして、文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施した「民間企業の研究活動に関する調査」アンケートの2008年から2018年の回答に加えて、一橋大学における帝国データバンクの企業データを用いる予定である。
2021年度のNISTEPデータの分析によりインバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益に対して有意にプラスの影響を示したが、アウトバウンド型オープン・イノベーションは企業の収益には影響を与えていないことが示された。これは外部の技術を積極的に取り込んで開発を実施するインセンティブが企業にあるのに対して、自社技術を積極的に外部に提供するインセンティブが無い、もしくは非常に弱いことを示唆されたが、これが非上場企業に対しても成立するかどうかを、帝国データバンクのデータも含めて検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、予定されていた出張調査に行くことが出来なかったため。
今年度はそれを取り返すべく、一橋大学に所蔵されている帝国データバンクのデータを加えた分析を行う予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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