研究課題
本研究の目的は、日本企業がアジアの現地法人においてマーケティング能力、特に現地消費者を理解するための情報収集能力に注目し、どのような組織的要因がそれを阻害しているのかを明らかにすることにある。2019年度は、タイとミャンマーにおけるインタビュー調査を計画通りに実施した。第1回(2019年8月)のタイにおける現地調査は、日系企業のタイでのビジネスをサポートしている政府系・民間系機関にインタビュー調査を実施し、専門家の意見を収集した。日本の人事システムや本社・現地法人間の権限の他にも、現地有力企業との関係が変化したことが消費者理解に強く影響しているという示唆を得た。第2回(2020年2月)の現地調査では、これまでの研究成果と上記仮説をタイの現地駐在員向けに講演し、仮説の妥当性について意見交換を行った。ミャンマーでは、商社や自動車メーカー、小売企業にインタビューを行い、上記仮説とともに、進出初期段階におけるマーケテイングについて有意義な意見交換ができた。また、国内においても、日本企業とアジア企業の合弁関係について、来日した当事者にヒヤリングすることができ、仮説が固まりつつある段階である。
2: おおむね順調に進展している
2019年度の計画は、タイとミャンマーにおいてインタビュー調査を実施し、仮説を構築することであった。2019年8月に行った調査で有力な仮説を得ることができ、この点においては想定以上に順調な進捗であった。一方、当初想定していたタイとミャンマーにおける明確な違いについては明らかになっておらず、2020年度に引き続き調査を実施する必要がある。以上の2点から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
2020年度の計画は、2019年度に引き続きインタビュー調査と現地におけるネットワーク作り(質問票調査の協力先)を続けることであったが、新型コロナウィルスの影響で海外渡航が難しい環境にあり、今後の研究の進捗は極めて不透明である。早期に流行が終息した場合には予定通り調査を実施するつもりであるが、流行が長引き海外渡航が難しい場合には、ウェブミーティング等に切り替えることも想定している。しかし、このやり方は調査対象者が限定されるため、新たな知見の獲得は難しくなるだろう。
今年度予算はすべて調査のための旅費として利用したが、学務との関係で、当初計画よりも滞在期間が短くなったため。繰り越した分は、物品購入(パソコン)として利用を予定している。
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International Journal of Innovation and Technology Management
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10.1142/S0219877020500121