研究実績の概要 |
コロナ禍の影響で現地調査ができないだけでなく、海外現地法人の在り方や駐在員の役割が変わりつつある。したがって、コロナ禍の駐在員の役割について改めて文献調査と聞き取り調査(オンライン)を進めた。 多国籍企業の駐在員は、本社・現地法人間の知識移転や、マーケティング活動の現地化、現地採用社員の管理や調整といった役割を担っている(Vlajcic et al., 2019; Dahms, 2019; Petison & Johri, 2009; Varma et al., 2012)。しかし、2020年以降のパンデミックをきっかけに、多くの多国籍企業で駐在員を帰国させる動きが見られた(Financial Times, 2020)。これは、駐在員や現地法人の機能の多くを停止させる一方で、駐在員という現地法人にとっての大きなコスト要素を低減させるという、プラスの点もある。本社に帰任した駐在員は、ZoomやTeamsといったオンライン会議システムを使って現地法人の管理を維持しようと努力している。こうした新たな市場環境・技術環境下における現地法人組織のあり方は、本研究の計画段階での想定を超えた状況である。 文献調査に加えて、海外駐在経験者やJETROの担当者に対して聞き取り調査を実施し、新たな環境下における現地法人組織のデザインについて知見を収集している。オンライン会議システムによってこれまでの駐在員機能が代替可能なのかどうかも含め、引き続き聞き取りを進めていきたい。
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