研究実績の概要 |
本研究の目的は, 地域経済を支える「強靭な物流ネットワーク」のあるべき姿を提案することである。研究初年度である2019年度には,(テーマ1)で各地域間の「産業間の連関構造」と「物資の流動構造」を同時に分析できる『産業連関構造・物資流動構造統合モデル』の構築をめざした。次ぐ (テーマ2)では(テーマ1)の『統合モデル』を用いた物流ネットワークの評価手法の検討を進めた。 (テーマ1)通常, 各地域間の交易を検討する際には, 「地域間産業連関表(経済産業省)」などを用いる。これは各地域間の産業の相互依存関係を生産活動の側面から「金額ベース」で示しているものである。本テーマでは, これに, 具体的な物資流動構造を紐付け, 『産業連関構造・物資流動構造統合モデル』を構築する。地域間産業連関表の整理が若干遅れているものの, 後者の物資流動構造の整理は予定通り進んでいる。特に, 北海道から他地域への主要移出品である農産品については, 流動構造の整理が進み, 成果を学会誌などで公表した。 (テーマ2)全国の物流ネットワークの評価に用いるシナリオの検討の一部として,「平時における食の安定供給, そして, 有事における不断の供給」に資する全国の物流ネットワークの構築における「ネットワーク強靭化(発展)モデル」を検討した。首都直下地震や南海トラフ地震などを想定し, 北海道・九州から想定被災地への農水産品のサプライチェーンにおけるレジリエンスを考慮した,6つのストーリーからなるモデルである。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度で計画していた研究テーマの内、(テーマ1)での地域間産業連関表の整理が若干遅れているものの,その他は順調に推移している。2020年度は, 代表研究者・分担研究者間の連携を十分にはかり, 遅れている産業連関表等の整理を重点的に進めていく。COVID-19によるヒアリング調査機会の減少などの影響が想定されるが、遠隔調査などの手段を講じ対処する予定である。
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