研究課題/領域番号 |
19K01947
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水野 誠 明治大学, 商学部, 専任教授 (10361304)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スキャンパネルデータ / スキャンデータ / シングルーソースデータ / 新製品 / 既存製品 / パッケージグッズ / 広告効果 / 選択モデル |
研究実績の概要 |
すでに収集された、米国におけるパッケージグッズ31品目の10年に及ぶ個人購買データ(スキャンパネルデータ)および店舗売上データ(スキャンデータ)を用いた分析を行った。データの前処理と基礎的な分析から得た知見に基づき、以下の分析を行った。第1に、地域別にいつ新ブランドが導入され、あるいは撤退したかを識別し、地域間伝播に何らかの規則性がないかを検討した。第2に、新製品の導入状況と既存製品を含めた市場の競争構造(売り手・買い手の集中度など)との相関関係を分析し、それを生み出すメカニズムのシミュレーションによる再現を試みた。次の段階として、当初の研究課題である市場戦略の定石の検証についても、分析の準備を進めている。
一方、昨年度入手した、日本についてパッケージグッズ20品目の5年に及ぶ、広告接触と購買履歴を個人レベルで統合したデータ(シングルーソースデータ)について前処理を行った。このデータの場合、広告と購買のデータ間にブランド・コード体系の不一致があるため、逐一実態を調べながらその統合を行う必要がある。そこで、ブランドが確立され、広告も盛んで、一定数の企業が独占的競争を行っているビール市場のデータの前処理を優先し、それを用いて、広告効果を考慮したブランド購買行動について選択モデルによる計量分析を実施した。その1つが、ビールの季節による希少性効果(期間限定効果)に注目した分析でありニューヨーク大学の石原昌和准教授と共同で実施し、Journal of the Academy of Marketing Scienceに論文を投稿した。また、広告の忘却効果に注目した研究を上述の石原教授とシラキュース大学のKwon助教で共同で行った。日本のデータについても、広告データが存在するメリットを生かして、市場戦略の定石を検証する研究の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍におけるオンライン授業の増加により、研究に投入できる時間が大幅に減少した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となり、やや遅れ気味の分析の挽回を図る。米国および日本のデータを用いて、研究課題に応える分析を行う。とりわけ、1)セグメンテーションとターゲティング戦略の効果、 2)価格弾力性で測られたブランドの差別化の効果、3)市場の成長性(製品ライフサイクル)との関係性といった点に重点を置き、総合的な分析を行う。 また、理論的裏付けとなるモデルの開発とシミュレーション分析を並行して行う。 可能な限り、学会発表や論文投稿を通じて研究に関するフィードバックを得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、コロナ禍のオンライン授業対応によって、研究時間が予想外に制約された。その結果、データ解析やシミュレーション、論文作成などの作業が遅滞し、必要な機材やサービスの購入が延期された。
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