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2021 年度 実施状況報告書

マーケティング戦略の定石の経験的妥当性検証に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01947
研究機関明治大学

研究代表者

水野 誠  明治大学, 商学部, 専任教授 (10361304)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードマーケティング戦略 / 広告戦略 / カスタマージャーニー / 期間限定 / アンブレラ・ブランディング / コロナ禍 / 購買履歴データ / 広告接触データ
研究実績の概要

マーケティング基本戦略の「定石」検証のため、米国についてはパッケージグッズ31品目の10年に及ぶ個人購買履歴と店舗売上データ、日本についてパッケージグッズ20品目の5年に及ぶ個人の広告接触と購買履歴データを行った。後で述べる理由で日本のビール市場に注目し、以下のような実績を挙げた。
第1に、価格、テレビ広告、PCやモバイルを通じたサイト訪問や検索などの一般化された時系列パタンを把握するため複素ヒルベルト主成分分析を用いたカスタマージャーニー研究を行った。同手法の開発者である青山秀明、藤原義久両氏との共同研究の成果は査読付論文としてPLOS ONEに掲載された。
第2に、価格とTV広告、流通(配荷率)とともに期間限定品の導入やアンブレラ・ブランディングといった製品戦略の効果を離散-連続選択モデルによって検証する研究を在米の石原昌和、Minjung Kwon両氏と共同で行った。研究成果を2021年12月の日本マーケティング・サイエンス学会研究大会で報告した他、論文誌に投稿した(現在査読中である)。
第3に、コロナ禍におけるパニック購買行動に注目し、購買データ等からその要因を探る共同研究を中野暁, 赤松直樹両氏と行い、論文誌に投稿した(現在査読中である)。
さらにマーケティング戦略に関する理論的研究としてエージェントベース・シミュレーションを行い、その結果を2021年6月の日本マーケティング・サイエンス学会研究大会で報告した。以上の研究結果のいくつかは、2022年3月の上梓された拙著『マーケティングは進化する』にマーケティングに関する一般化可能な知識として反映されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本のデータについては、ビールのカテゴリを除きブランドの識別のための情報や製品属性情報が不十分であるという問題が認識されたため、ビール市場の分析を優先することにした。その結果、上述のように焦点を絞った論文の成果がいくつも生まれた一方で、日本のデータにおける他のカテゴリの分析が予定したほど進まず、カテゴリを超えた一般化に至っていない。
米国データの分析については在米の共同研究者との打ち合わせや共同作業が不可欠であるが、2020、2021年度に米国出張が不可能であり、在米の共同研究者の側にも様々な困難が生じたため、研究の進展が制約されることになった。

今後の研究の推進方策

日本のデータにおけるビール以外のカテゴリについては、ブランドや製品に関する情報不足に対応できる範囲で分析する必要があり、当初の分析構想を縮小した形で進める予定である。なお、ビールカテゴリの分析ついては、新たな共同研究者からこれまで考えていなかった分析アイデアが提案されており、2022年度内には何らかの成果を発表したい。米国のデータを用いた分析についても、海外出張の緩和などを踏まえて、遅れを取り戻すつもりである。
他方、当初の計画では必ずしも明確化されていなかったシミュレーション研究について、科研費を用いた計算機環境の改善もあって可能性が広がっている。マーケティング戦略に関するエージェントベース・シミュレーションについてはいっそうの分析を行い、成果を論文その他の形でアウトプットすることを目標にする。
これらの研究から得られる成果について、研究書だけでなく一般向けの啓蒙書なども視野に入れて発表していきたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による海外出張規制、リモート教務負担の増加による研究時間の減少により、研究計画の遂行に遅れが生じたため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Untangling the complexity of market competition in consumer goods?A complex Hilbert PCA analysis2021

    • 著者名/発表者名
      Mizuno Makoto、Aoyama Hideaki、Fujiwara Yoshi
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 16 ページ: 1,23

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0245531

  • [学会発表] エージェントベース普及モデルの解剖学―C2Cインタラクションの諸相2021

    • 著者名/発表者名
      水野誠
    • 学会等名
      日本マーケティング・サイエンス学会第109回研究大会
  • [学会発表] 「期間限定」製品はなぜ購入されるか?―購買履歴データの離散-連続選択モデルによる分析2021

    • 著者名/発表者名
      石原昌和, Minjung Kwon, 水野誠
    • 学会等名
      日本マーケティング・サイエンス学会第110回研究大会
  • [図書] マーケティングは進化する2022

    • 著者名/発表者名
      水野誠
    • 総ページ数
      294
    • 出版者
      同文舘出版(株)
    • ISBN
      978-4-495-64662-2

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公開日: 2022-12-28  

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