研究課題/領域番号 |
19K01948
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
上田 雅夫 横浜市立大学, データサイエンス学部, 教授 (20755087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 主観的厚生 / 顧客管理 / SDGs |
研究実績の概要 |
主観的厚生とは、自らが感じる生活の全体もしくは一部に対する満足の度合いであり、最近、経済学、心理学、社会学などの分野で、この主観的厚生が研究対象として注目されている。本研究では、マーケティングにおけるこの主観的特性に注目し、消費者が各企業に対して有する主観的厚生の値とマーケティングに関連する指標の間で、正の関係があることを確認し、確認した結果の検証作業を通して、主観的厚生を用いて企業を評価しうることについて明示することを目的としている。主観的厚生の値が企業評価に利用できれば、管理指標として主観的厚生の値が用いられ、主観的厚生を向上させるようなマーケティングが実施される機会が増える。その結果として、社会全体の幸福感が高まり、消費者にとって住みやすい社会となり、企業においても、重要な経営課題の一つである持続的な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を達成できる。 2020年度は検証用調査の実施及ぶ分析、2019年度に実施した調査結果の発表(含む学会誌への投稿)を行うことを予定しており、7月に検証用の調査を実施し、基礎的な分析を行った。ただし、本研究を計画していた時に、このような新型肺炎の蔓延は想定しておらず、データをどのように扱うべきか慎重に検討を進めた。また、学会発表、学会誌への投稿であるが、学会報告は次の2件、2020年9月に開催された日本行動計量学会の全国大会(津鉄道、携帯電話のキャリア企業に関する分析結果を報告)、同年10月に開催された日本消費者行動研究学会のカンファレンス(メーカー、小売業に関する包括的な分析について報告)である。論文については執筆を進めたが投稿までには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、検証用の調査の実施と2019年に行った調査結果の分析を主たる目標にしていた。検証用の調査については前年と同じ時期に実施することができ、得られたデータの確認を行い予備分析も行ない、その結果を十分に検討し、2021年度に向けての分析の方針を立てることができた。学会報告については2019年度に行った調査データを用い、分析した結果を日本行動計量学会並びに日本消費者行動研究学会の大会で報告を行った。報告を行った内容をもとに、論文を執筆し投稿の準備まで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究も2019年4月に挙げた計画に沿って進める予定である。2021年度の計画は「検証用調査の結果の発表(含む学会誌への投稿)、研究全体の取りまとめ」を挙げており、これらの目的を達成するためにも3ヵ月を一単位として研究を進める予定である。4~6月は分析を行う期間とし、2021年度は2019年度に行った研究により作成したモデルの推定結果がどの程度信頼に足りうるのか、実務において主観的厚生を指標として利用しうるか確認するための分析を行う。同時に、非利用者にいける効果といった追加分析や2018年度の調査結果に関する論文の投稿を行う。次の3ヵ月は、分析結果を取りまとめ、学会報告を行うための時間とする。10~12月は、学会報告の内容を、口頭発表時に寄せられた意見を参考に修正(含む追加分析)を行い、論文化し、投稿の準備を進める。2021年度の第4四半期においては、論文の投稿、並びに、3年間の研究を取りまとめを行うことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延による、出席予定であった海外の学会の開催が中止されたため、計上していた予算と使用額の間に乖離が開いたためである。本年度は、オンラインで開催される学会の参加費並びに海外のジャーナルへ研究成果を投稿する際のネイティブチェックに主に使用する予定である。
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