本研究の目的は、新たな市場を創造する可能性を秘めている革新的新製品がどのように消費者に受容されるのかを検証することで、消費者行動研究の視点から、市場が創造されるメカニズムを明らかにすることである。 令和3年度は、革新的新製品が消費者に受容され市場が創造される際のインパクトをマクロ的視覚から捉えるために、消費者のキャバリア行動(旧製品に対して無頓着になること)を統計的因果推論の知見を活用し、実証分析を行った。当初は革新的新製品の受容を促進させる要因を消費者のカテゴリー知識の視点から捉えることを想定していたが、先行研究をレビューしていく中で、消費者のキャバリア行動という分析視点を得ることができた。 実証分析では、消費者調査とスマートフォンのスクリーンタイムに関するデータから大規模データを生成し、それらをDID分析と回帰不連続デザインを活用して分析を行った。その結果、革新的新製品が市場投入されることで生じるインパクトを消費者のキャバリア行動から捉えることができた。さらに、革新的新製品の受容が促進される要因としての消費者心理の変化を捉えることができた。
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