研究課題/領域番号 |
19K01955
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
秦 洋二 流通科学大学, 商学部, 教授 (70512698)
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研究分担者 |
森藤 ちひろ 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (10529580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 製造業のサービス化 / サービス提供者 / エージェンシー理論 / エージェント / 価値共創 |
研究実績の概要 |
本研究は,消費者のサービス購買行動とモノ購買行動の相互作用を明らかにすることを目的に構想されたものである。具体的には,モノ購入時点を起点として,それより以前に受けたサービス及びそのサービス提供者に対する消費者の評価が,事後のモノの購買行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,以下の3つの視点で考察を行う。3つの視点とは,(1)事前のサービス消費の有無による事後の購買意思決定プロセスの比較 (2)サービス消費後の品質評価に影響を与える諸要素の特定 ,(3)事前サービスに対する消費者の満足が消費者の品質評価に及ぼす影響,以上の諸点である。 今年度は,サプリメント製造業者の事例を通じて,モノの購買行動とサービスの関係について分析した。特に今年度の研究において特筆すべき点は,消費者と企業の接触点として「エージェント」の概念に着目したことである。製造業がサービス化によってビジネスモデルを転換すると,様々なステイクホルダーとの関係性にも変化が生じることになる。企業経営におけるステイクホルダーとの関係性の分析枠組みとしてエージェンシー理論を採用した。エージェンシー理論では,すべての人間関係が「依頼人(プリンシパル)」と「代理人(エージェント)」といったエージェンシー関係で分析される。プリンシパルとは「誰かに対価を払って仕事を頼む人間」のことであり,エージェントとは「誰かから対価をもらって仕事を代理する人間」のことである。 今年度の研究を通じて,製造業者がエージェントを介することで,製品とサービスに対する信頼を高めていること,さらにエージェントになるクライアントに対する高度専門サービスの提供によってエージェントとの協働関係を実現していること等が明らかになった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大,非常事態宣言の影響により,今年度の調査予定は大幅な変更を余儀なくされた。可能な範囲で調査・分析を進め,研究成果の公表も実施してはいるが,研究の進捗状況としては(3)やや遅れている,と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
文献レビューによる理論面での考察をさらに深めて行く考えである。実証面では,企業へのインタビュー調査,消費者へのアンケート調査を実施し,研究成果を蓄積・公表していきたい。コロナウイルスの感染拡大,非常事態宣言の発令など予測不可能な問題も少なくないが,その時々の状況に柔軟に対応し,研究を着実に遂行していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年の調査旅費および研究用機材購入予算を計上していたが,コロナウイルスの影響により調査予定の多くがキャンセルとなった。また発表を予定していた学会にも中止になったものがあり,支出がなくなったため予算残が発生した。しかし,次年度以降状況が改善していれば,追加調査を行い,さらに研究を進展させたい考えである。
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