研究課題/領域番号 |
19K01955
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
秦 洋二 流通科学大学, 商学部, 教授 (70512698)
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研究分担者 |
森藤 ちひろ 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (10529580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 製造業のサービス化 / サービス提供者 / エージェンシー理論 / エージェント / 価値共創 |
研究実績の概要 |
本研究は,消費者のサービス購買行動とモノ購買行動の相互作用を明らかにすることを目的に構想されたものである。具体的には,モノ購入時点を起点として,それより以前に受けたサービス及びそのサービス提供者に対する消費者の評価が,事後のモノの購買行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 サプリメント製造業者を事例として製造業者のエージェントとの「関係性マネジメント」を分析し,プリンシパルによるエージェント・コントロールに必要な要素を抽出した。事例企業のビジネスモデルの特徴は自身は製品の販売は行わず,原則として医療機関を通じて消費者に販売されている点である。つまり,医療機関が事例企業にとってのエージェントとなる。事例企業が販売するサプリメントは高品質ではあるが,決して低価格ではない。従って,サプリメントの販売に際しては,医療機関がサプリメントの良さをわかりやすく患者に伝えることが必要不可欠である。事例企業はドクターが栄養補助食品に関する知識をアップデートし,体系的な知識を学ぶことができるように種々のサポートを行っており,それらのサービスによってドクターからの信頼を獲得していることなどが明らかになった。 ここまでの調査結果を踏まえて「関係性マネジメント」の分析に際して重要な意味を持つと考えられる,エージェント・コントロールがどのような条件の下で実現するのかを考察した。その結果,特に高度な専門知識・技能を必要とする業務については,それらを備えた人材を企業内部において雇用することが相対的に難しく,結果として企業はそのような知識・技術を外部に依存せざるを得ないケースが増加すると考えられること,またそのような高度な専門知識・技術人材に対して必要とされる情報やサービスの提供が,インセンティブとして有効であること等が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,今年度の調査予定や学会等での報告といった活動も大幅な変更を余儀なくされるところがあったので,(3)やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
出張を伴う調査や学会報告などが実施しにくい状況が続いていたが,ようやく制限が緩和されてきたこともあり,今後は活発に研究活動を進めていくことができると考えている。また,対面調査だけでなく,リモートでの調査もできる体制を整えたので,これらを積極的に活用していく考えである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響により,予定していた調査を十分に行うことができなかった。研究報告の場である学会も中止や延期が相次いでおり,結果として次年度使用額が発生することとなった。感染が落ち着き,調査や研究報告のための移動(国内・海外)が可能になり次第,研究計画の遅れを取り戻していきたいと考えている。
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