研究課題/領域番号 |
19K01960
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
坂本 和子 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (50379070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デザイン / 類似 / 模倣 / 消費者嗜好 / 臨界点 |
研究実績の概要 |
本研究は製品デザインの類似あるいは模倣について、消費者の印象評価を考察するものである。 具体的にはどのようなデザイン要素が消費者に類似とみなされ安心感や親しみなどのプラス性向、あるいは全く対照的なモノマネやコピー、模倣といったネガティブな印象となるのか-消費者の類似に対する許容範囲や認識尺度を開発する。加えて、それらが製品カテゴリーや国(地域)によってどう異なるのか比較分析を行う。これらの調査を踏まえて、製品デザインは「国」を基軸とする文化的背景や制度、自然等によって消費の捉え方、印象評価がどう異なってくるのかという項目で構成するものであったが、コロナによる影響から海外調査等の実施が困難となっていたため、大幅に予定を変更して実施せざるを得なかった。 そこで一昨年から商品の類似に対する意識調査を時系列で行ってきた。今回の調査は大学生・大学院生246人を対象に、これまでと同様に使用場面とデザインパターン数が異なるジャケット、ディパック、パソコン、スマホ、マグカップ、炊飯器、空気清浄機、フライパンの8アイテムとした。類似のデザインを嫌うカテゴリーには、アウトドア ジャケットやデイパックなどがあり、家庭で使われている炊飯器と空気清浄機などは気にならないアイテムである。エンゲージメントと使用のコンテキストが類似性に対する耐性に大きな影響を及ぼし、エンゲージメントが高く、より公に使用されている製品ほど耐性が高いことを示していた。 形状は依然として購入意図に影響を与える要因で、デザインへの関心が高い人は、形状だけでなく全体の印象や素材、色などから類似性を判断する傾向が見られた。 さらに類似性の視覚的な原点を探るため、VTS(Visual Thinking Strategy)の手法を用いて、社会人を対象に絵画鑑賞の際に現れる類似を手掛かりとする解釈や印象評価等についての実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年もコロナウイルス感染拡大に伴う海外出張等の規制のため、予定していた実験や調査票調査、観察調査、訪問調査等の研究活動が滞っている状況である。調査対象国であるオランダの研究協力者(デルフト工科大学)との交流も難しく、所属機関を異動したばかりの年度であり、研究活動が思うように進展しなかったことも影響した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、渡航が可能となったため、現地(オランダ)や調査対象国(中国)での調査を実施する予定であるが、最終年度にあたる本年で当初計画していた内容をすべて実践することは難しいと思われる。時間的制約の中で可能な限り知見導出を目指し、プロジェクト終了としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年同様、コロナウイルスの影響で海外出張にかかる費用(海外調査経費と学会発表)として支出できなかったため、次年度は遠隔調査での実施を検討し、ネット環境の整備とともに、調査会社への費用などに使用する予定である。
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