研究実績の概要 |
1920年代に産まれた自動車フランチャイズ・システムは現在多くの面で制度疲労を露呈している。こうした自動車フランチャイズ・システムを改革するための,次世代の自動車流通経路戦略を方向づけすることが本研究の目的である。そのために第一に,欧米および日本の現行システムを徹底的に洗い出し,流通経路の当事者(自動車メーカー,ディーラー等)が認識している問題点を具体的かつ系統的に摘出することである。 第二に,実際におこなわれている改革の先行事例/成功事例を徹底して収集することである。 第三に,収集した先行事例/成功事例を,フランチャイズ・システム(主として専売制)の肯定的改革と否定的改革に分類し,体系的な評価をおこない,新たな改革の方向を抽出していく。 第四に,本研究では専売制を維持しながらも社会的品揃え機能と売買の需給調整機能が強化されている事例を改革の中心課題と見做し,次世代の自動車流通経路戦略の方向性を探る。 先進国における自動車流通においては,1920年代以来自動車メーカーを機軸としたフランチャイズ・システムが広く普及している。しかしながら現時点においてはこのシステムは多くの面で制度疲労を露呈させている。既に自動車メーカーの側でも米国でおこなわれたオートコレクション(自動車メーカーによる直営店化)に見られるように従来のシステムの改革を模索している。そこで本研究では,自動車フランチャイズ・システムに関する国際比較調査を行ない,次の学術的「問い」を発する。現在の自動車フランチャイズ・システムは部分修正で維持が可能か,もし部分修正で維持が不可能とするならば,自動車フランチャイズ・システムが存続しうる変革の方向は何か。さらに理論的「問い」に昇華させるならば,「専売制」と「社会的品揃えおよび売買の需給調整機能」はいかに対立し,あるいは両立するのかの「問い」である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
総じて当初の研究計画に基づいて研究を進めたが,コロナ感染拡大で国内調査と海外調査がともに実施困難で文献研究が中心となった。自動車流通関連の文献を検討した。 国内としては,鹿児島トヨタ,鹿児島トヨペット,カローラ鹿児島,日産ネッツ鹿児島,鹿児島ホンダ,鹿児島日産を訪問取材し,鹿児島における自動車流通の現状と課題を調査した。 海外調査はコロナ問題のために実現できなった。
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