研究課題/領域番号 |
19K01973
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
藤岡 里圭 関西大学, 商学部, 教授 (00326480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 百貨店 / ファッション / アパレル / 着物 |
研究実績の概要 |
本年度は、百貨店の歴史およびその競争力の変遷について、文献を整理することから始めた。そして、アメリカ、イギリス、フランスの百貨店と比較しながら、日本の百貨店の競争力―特に百貨店にとって利益の源泉となっているファッション部門の競争力―がどのように変化してきたのか、そして現在競争構造がどのように変化しようとしているのかについて、二次資料を基に考察し、以下の2つの学会で報告した。 1.デジタライゼーションの影響について:2019年7月にタイのバンコクで開かれたAssociation for Asian Studiesアジア大会(AAS in Asia)にて、"Impact of Platform Business on Clothing Value Chain"と題し、アパレル商品の主たる生産地である中国でプラットフォームビジネスが台頭していることによって、日本の百貨店がどのような影響を受けているのかについて研究報告を行った。 2.グローバリゼーションの影響について:2019年8月、オランダのロッテルダムで開催されたEuropean Business History Association (EBHA)の年次大会において、"Creativity beyond Kimono Fashion"と題し、日本の百貨店がどのように着物という伝統的衣服にクリエイティビティを付与したのか、また欧米の流行をいかに着物の図案に取り入れていったのか、さらには日本のファッションがどのように欧米のファッショントレンドとつながっていったのかについて、研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的な文献研究およびその成果報告は、予定通り行うことができた。 しかしながら、当初2020年3月にイギリスで予定していた資料収集が、新型コロナウイルス感染症の拡大により取りやめざるを得なくなり、イギリスの百貨店に関する一次資料が収集できなかったことは、想定外であった。とはいえ、EBHAで研究発表したことにより、イギリスのデザイン史および特許管理を研究している研究者と知り合うことができ、V&Aアーカイブスに所蔵されている資料やそのアクセス方法に関して助言を得たことは、今後の研究を進めるうえで大いに役立つと思われる。 以上のことを総合的に判断すれば、「おおむね順調に進展している」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、アメリカの百貨店に関する一次資料の収集と、2020年6月にアメリカのボストンで開催されるIndustry Studies Association(ISA)年次大会での報告(すでにアクセプトの連絡を受けていた)を予定していた。しかし、ISA年次大会は基調講演のみのオンライン開催となり、また、海外で資料収集が行えるかどうかを現時点で判断することは困難である。 そこで、研究計画を一部変更し、当初は2021年度に予定していたデジタライゼーションが百貨店にもたらす影響に関する研究を前倒しし、2020年度に実施したい。具体的には、日本の百貨店やアパレル企業、さらには中国や日本のプラットフォーム企業に関するデータ分析や資料調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、2020年3月に予定していたイギリスでの資料調査が行えなかったため、2019年度分の助成金に未使用額が発生した。2020年度に海外での資料調査が実施できる状況となれば、次年度に繰り越した研究費はイギリスおよび北米での資料調査に充当する。2020年度もまだ海外調査が困難な場合は、海外のアーカイブス資料が所収されているデジタルコレクションを購入する予定である。
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