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2021 年度 実施状況報告書

デザイン・ドリンブン型開発促進のためのインサイトと対話プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K01974
研究機関近畿大学

研究代表者

廣田 章光  近畿大学, 経営学部, 教授 (60319796)

研究分担者 水野 学  日本大学, 商学部, 教授 (80411685)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードイノベーション / デザイン・ドリブン / 相互作用 / 認知と表現 / 対話 / リフレクティブ・カンバセーション / 問題発見 / デザイン思考
研究実績の概要

「人々が気づかない問題を創造的に発見すること」(Verganti 2009,2016)に対する開発者の行動についてプロセスの実体を調査(事例比較)によって明らかにすることが本研究の目的となる。その中で2021年度は、デザイン行動の試行錯誤における対話の構造を捉える視点である「リフレクティブ・カンバセーション」(表現と認知の相互作用:Schon 1983)に注目した。市場創造型の開発においては言語、非言語表現を通じた「リフレクティブ・カンバセーション」を積極的に行うことが、インサイトの創造を通じた、問題発見と問題解決の同時性(Von Hippel and Von Krogh 2016、石井1993,2009)を促進することを確認するため、事例分析から得た表現行動をもとにイノベーションにおける開発者の表現行動リストを作成した。この行動リストをもとに、問題発見行動と解決行動にわけて表現行動の業務における日常行動についての質問票調査データに関する集計と分析を実施した。
また、並行してデザイン・ドリブン型イノベーションに関連し組織での導入が進んでいる「デザイン思考」に関する組織導入の実態について、導入企業へのオンラインヒアリング調査をもとにした4つの領域に関する導入課題を抽出した。日本マーケティング学会デザイン思考研究会のメンバーと共に、抽出した課題をもとに予備的な調査を実施するため質問票設計を行った。そして日本マーケティング学会デザイン思考研究会のメンバーと共同で実施した。
これらの調査データは、日本マーケティング学会、日本認知科学学会、日本商業学会、British Academy of Management (BAM)および近畿大学イノベーション研究所などでの論文発表、口頭発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リフレクティブ・カンバセーションの特性は「問題を特定することを避け、暫定的なデザインを繰り返すこと」(Norman 2013)である。この特性をより具体的にすべく、リフレクティブ・カンバセーションに関連するイノベーション研究に関する以下のような分野の文献調査を実施した。優れたイノベーター研究(Dyer and Christensen,et al.2011)優れた起業家研究(Sarasvathy 2008)、マーケティング、経営分野(石井 1993、Lester and Piore 2004)、デザイン思考(Kelly and Kelly 2013)、工学(Steinert and Leifer 2012)、建築(Alexander 2013)。その上で、リフレクティブ・カンバセーションを構成する単位の行動を明確にするため、文献調査、事例調査をもとにイノベーションに関連する開発者の4つの分類ごとに具体的表現行動のリスト作成を実施した。
新型コロナウィルス感染症拡大のため、2021年度予定していた、国際学会報告(ISPIM2021、OUI2021、BAM2021)が中止およびオンラインになったそのため国際学会での報告はBAM2021のみとなった。同時に海外イノベーションおよびデザイン研究者との意見交換とフィードバックを獲得する機会が限られた。さらに当初予定していた、スタンフォード大学CDR(デザイン研究チーム)および、欧州および米国のデザイン・リサーチセンターへの調査についても限定された。また、その不足を補うため、昨年度に続きランカスター大学の研究者コミュニティとのオンラインミーティングおよびBAMを通じてSAP、IBMのデザイン担当への意見交換を実施した。

今後の研究の推進方策

前年度までの実績をもとに、今年度は以下のような項目について研究を進める。
第1に、2021年度の分析および成果へのフィードバックをもとに、リフレクティブ・カンバセーションのモデルを問題発見と解決および問題発見・解決の同時(Hippel and Von Krogh 2016)の3つの成果と表現行動と創造に関する相互作用モデルを開発し、検証を実施する。またモデルの構築に伴い追加の質問票を作成し調査を実施する。
第2に、スタンフォード大学デザイン研究者、ランカスター大学デザイン研究者との意見交換と米国、英国、日本のデザイン・ドリブン型イノベーションの企業経営への浸透状況の比較を実施する。
第3に、リフレクティブ・カンバセーションモデルについて、イギリス、ドイツのデザインセンターを調査し、課題と有効性について調査する。
第4に、調査、考察内容を国内外(ISPIM、BAM、日本マーケティング学会、日本商業学会、日本認知学会を予定)への公開をする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスが終息しなかったため、予定していた国際学会報告がオンラインで対応したこと、および海外のデザイン行動に関する調査についてもオンラインで対応した。そのため、旅費の支出が発生しなかった。
来年度において、渡航制限が緩和された場合、感染防止には留意しながら、国際学会での報告(現時点、6月のISPIMでの報告が確定)および調査を進めたい。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Lancaster University(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Lancaster University
  • [雑誌論文] ビジョンドリブン・イノベーションを促進する「ビジョン・トライアングル」 -成長するビジョンの仕組みと行動2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光
    • 雑誌名

      経営イノベーション研究所 創立10周年記念論文集

      巻: 1 ページ: 1-10

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 体験デザインとシグネチャー・ストーリーの創造2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光
    • 雑誌名

      商経学叢

      巻: 68 ページ: 1-27

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] デザイン思考の組織導入要件-デザイン思考定着・浸透組織と未定着・未浸透組織の比較2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光, 小川亮, 黒岩健一郎, 吉橋昭夫
    • 雑誌名

      認知科学学会第38回大会論文集

      巻: JCSS2021 ページ: 83-90

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 市場創造型開発者の問題発見・解決行動の特性 投射視点によるデザイン行動の考察2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光
    • 雑誌名

      日本商業学会 第71回 全国研究大会 報告論集

      巻: 1 ページ: 129-139

  • [学会発表] ビジネススクールにおけるデザイン思考教育の実際と課題 ーデザイン思考教育の実際と課題 スタンフォード大学大学院(機械工学科)のデザイン系講義2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光・黒岩健一郎・吉橋昭夫・小川亮
    • 学会等名
      日本マーケティング学会リサーチプロジェクト合同研究会 2022年
  • [学会発表] イノベーターの試行錯誤における表現行動と対話2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光
    • 学会等名
      日本商業学会関西部会9月例会 コーディネーター・セッション
  • [学会発表] デザイン思考の組織導入要件-デザイン思考定着・浸透組織と未定着・未浸透組織の比較による考察2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光, 小川亮, 黒岩健一郎, 吉橋昭夫
    • 学会等名
      日本認知科学会第38 回大会
  • [学会発表] Learning from a comparative study between companies with and without design-thinking2021

    • 著者名/発表者名
      Akimitsu Hirota
    • 学会等名
      British Academy of Management (BAM) 2021 Conference Professional Development Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 市場創造型開発者の問題発見・解決行動の特性 投射視点によるデザイン行動の考察2021

    • 著者名/発表者名
      廣田章光
    • 学会等名
      日本商業学会 第71 回 全国研究大会
  • [図書] 1からのブランド経営2021

    • 著者名/発表者名
      石井淳蔵, 廣田章光, 吉田満梨, 西口智美, 島永崇子, 明神実枝, 山本奈央
    • 総ページ数
      276
    • 出版者
      碩学舎
    • ISBN
      978-4502384714

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公開日: 2022-12-28  

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