研究課題/領域番号 |
19K01976
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
川端 基夫 関西学院大学, 商学部, 教授 (60234118)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | フランチャイズ / 法人フランチャイジー / 法人加盟 / 中小企業 / 意思決定 / マルチユニットフランチャイジー / 複数店経営 |
研究実績の概要 |
研究2年目の2020年度は、以下の4つの課題を遂行した。ただし、コロナの感染拡大の影響により、ヒヤリング調査などの続行が困難になったことから、本来は3年目に行う予定をしていた研究のとりまとめと刊行を1年前倒しで行った。 1:「日本における法人フランチャイジーの拡大プロセス」と題する論文を執筆した。『商学論究』(関西学院大学商学部)68巻2号、1-41ページに掲載。これは日本のフランチャイズの大きな特徴である法人加盟がどのような経緯で拡大してきたのかを解明したものである。具体的には、1960年代の黎明期から今日に至る拡大過程を5つの時期に分けて捉えた。 2:アメリカの法人フランチャイジーの実情調査を、ロサンゼルスのコンサルタントとのZOOMでのヒヤリング調査も含めて行った。これにより、アメリカでは法人加盟が3割程度しか見られないことが明らかになった。 3:昨年作成した法人フランチャイジーのデータベース(1130件)とヒヤリング調査(78件)の分析と整理をおこなった。これにより日本の法人フランチャイジーの全容が明らかとなった。また、日本の法人フランチャイジーの全法人数の推計も行った。 4:単著本『日本の法人フランチャイジー』(新評論刊)を執筆・刊行した(2021年3月刊)。全311頁。なお、刊行に当たっては関西学院大学の学術出版助成制度を利用した。本書では、法人フランチャイジー研究の意義、従来のフランチャイズ研究の課題、法人フランチャイジーの定義、その拡大の歴史的経緯、データベース分析による法人フランチャイジーの全容把握、ヒヤリング分析による本業とフランチャイズ事業との関係の解明、法人フランチャイジーを中小企業・地方企業という視点から捉えた場合の諸問題などについて、検討を行ったものである。この本によって、これまで研究の視野の外にあった法人フランチャイジーの実態が初めて明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度は、本来はヒヤリング調査を続行する予定をしており、法人フランチャイジーだけでなく、本部側の調査や海外の実態調査を進めるつもりであった。しかし、コロナの感染拡大の影響で春以降は海外渡航ができなくなり、また国内のヒヤリング調査も進まなくなった。そこで方針を転換して、ステイホームや自粛期間を利用して、これまでの調査の範囲内でとりまとめの作業を行った。このことから、本来は3年目に予定していた学術書の執筆と出版を年度内に行うことができたことから、当初の研究計画よりも大きく進展させることが出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
学術書の刊行を1年前倒しで行ったため、2021年度は基本的にやり残した課題に取り組む予定である。すなわち、①法人フランチャイジーのうち、北海道や九州などの遠隔地の法人へのヒヤリング調査、②本部に対するヒヤリング調査、③海外の法人加盟の実態調査、の3つである。 しかし、これらはコロナの感染がどこまで終息するかにかかっている。そのため、もしコロナの感染が収まらず本年も調査ができなかった場合は、2019年と2020年に収集した古いフランチャイズ関係の文献整理と分析(とくに過去の業界雑誌記事)に切り替えて、論文にまとめる課題を遂行したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナの感染拡大の影響により、海外渡航の禁止や国内出張の禁止または自粛が行われたため、予定していた旅費の支出ができなくなった。また、2020年度はデータ分析や研究書のとりまとめ(自宅での執筆作業)に集中したこと、著書の出版にかかる経費が関西学院大学の出版助成費によって賄われたことにより、予算の執行の必要性がほとんどなかった。このようなことから、2020年度に確保した予算の大部分は、2021年度に繰り越されることとなった。 2021年度は、2020年度にコロナの感染拡大の影響で出来なかった、遠隔地の法人フランチャイジーのヒヤリング調査、本部へのヒヤリング調査、海外の法人加盟の実態調査などを行うため、その費用として研究費を使用する予定である。
|