最終年度は、①法人フランチャイジーが多いリユース業(中古品取引業)の実態調査と、②法人フランチャイジー研究の成果を実務界に普及させることに注力した。①については、リユース業のビジネスモデルの理論的分析と実態調査を行い、さらに海外進出実態についても台湾と米国で調査を行った。②については、フランチャイズ業の本部やコンサルタントの人たちとの知識交流、中小総合研究所が刊行する雑誌『中小金融』への寄稿、フランチャイズ業界の雑誌である『ビジネスチャンス』誌の法人フランチャイジー特集号への協力、同誌上で2022年12月から始まった法人フランチャイジーに関する連載の執筆などを行った。 今年度で4年間の研究期間を終えたが、最大の成果は、2021年3月末に出版した『日本の法人フランチャイジー』(新評論刊)に対する社会的関心の大きさであった。本書は、2022年度の日本商業学会賞・優秀賞と、同年の中小企業研究奨励賞・本賞を受賞した。本書が刊行されるまでは、学会でも法人フランチャイジーという言葉すらほとんど知られていない状況であったが、本書によって広くその存在を知らしめることができたことは大きな成果であった。また、同書はフランチャイズ業界で活動をするコンサルタントや税理士、弁護士などの間でも反響が大きかった。同書の刊行を契機に、日本の法人フランチャイジーの全容やその実態、およびその経営戦略に対するフランチャイズ業界の理解が深まったことも大きな成果であった。
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