研究課題/領域番号 |
19K01979
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉見 宏 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (90222398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 監査 / 公会計 / 統合報告書 / 保証 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2019年度においては、本研究の重要なポイントとなる国際比較研究のため、必要となるインタビューを国内外で行った。国外分については、ニュージーランド・オークランドで開催されたAsia-Pacific Interdisciplinary Research in Accounting (APIRA) カンファレンスおよび、ポーランド・ワルシャワで開催されたAsian-Pacific Conference on International Accounting Issuesに参加し、この機会を利用して参加研究者から意見聴取を行った。また、国内では日本会計研究学会(神戸学院大学)および会計理論学会(明治大学)等を利用して、関係研究者からの意見聴取を行っている。またあわせて、これらの研究の基礎となる資料収集も行った。 本研究で第一年度において行った学会報告として、上記の日本会計研究学会において、「パブリックセクターの監査の行方」の題目で研究報告を行った。これらは、統合報告書の監査・保証について念頭に置いて、公的部門(パブリックセクター)において、将来、どのような監査・保証の課題があるのかを包括的に概括しておく目的での報告であった。その後、論文としてもこれを公表している。また、広義の公会計となるが、鉄道史学会(釧路公立大学)において、共通論題の報告をして、「JR7社の発足とその後:30年の歴史が語ること-経営および公会計の観点から見た地方の鉄道-」の研究報告も行っている。国鉄の分割民営化により生まれたJR各社は、民間企業ではあるが公的部門の色彩が強い企業である。これらは会計の面でも特徴を持つが、一方で会計だけではない政策的な側面での経営も求められている。このため、会計情報だけではない、記述的な情報も重要な情報であり、統合報告を考えるときには興味深い対象であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた初年度の研究の予定をほぼ予定通りに消化できている。海外において2カ所で意見聴取等が行えたことはよかったと考えるが、基本的にはアジア太平洋地域のカンファレンスであったこともあり、また公的部門に特化したカンファレンス等での意見聴取は日程の都合からできなかったが、所期の目的は果たせたと考えられる。 また、初年度において研究全体の方向性を見渡せる研究報告およびその論文執筆ができたことも研究の進展の点で有意義であったと言える。一方で、統合報告書にかかる資料収集は、今後も引き続き必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度においては、引き続き海外におけるものを含む国際比較研究のための資料収集と分析を行う。ただし、現下の新型コロナウィルスの感染拡大状況如何では、実際に海外に出向いての資料収集は困難になる可能性もあり、この場合には方法を変更せざるを得ない可能性もある。 第2年度および最終年度となる第3年度にかけては、本研究の柱となる統合報告書資料について焦点を当てた学会等での研究報告、および論文の執筆、そしてこれをもとに監査・保証モデルを構築する作業に向かうことになる。このため、特に第2年度においては、公的部門の統合報告書に対する監査(保証)モデル構築のための基礎的な整理を行うことになる。具体的には、これまでの類似した研究の整理、類似モデルの整理、その他、利用可能なモデルの整理等が必要となる。
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