研究課題/領域番号 |
19K01980
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
米谷 健司 立教大学, 経済学部, 准教授 (90432731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 税効果会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、税効果会計の注記情報を分析することにより、当該情報が投資家の立場から有用な情報であるのか否かを明らかにするとともに、当該情報から日本企業の税務計画(タックス・プランニング)の実態を浮き彫りにすることである。注記情報に含まれる発生原因別の一時差異情報と、法定実効税率と税効果会計適用後の税負担率の乖離情報等を手入力で分類・収集した上で、税効果会計の注記情報に含まれる内容を分析する。定量的な情報に基づく分析を中心としつつも、企業の経理担当者あるいは市場関係者を対象としたフィールド調査も実施したいと考えている。 これらの分析を行うため、本研究では、税効果会計の注記情報を手入力によりデータベース化する。手入力による注記情報を活用した研究はいくつか存在するものの、十分な蓄積があるというわけではない。既に2000年から2013年までの東証上場企業(個別決算のみ)を手入力によりデータベース化して分析を行っているが、当該データベースは、繰延税金の発生原因を、一時差異、繰越欠損金、評価性引当額の3つに分類して収集しており、それよりも詳細な分類は行われておらず、注記情報に含まれる情報内容を明らかにするためには十分ではない。そこで一時差異の内訳項目をさらに細分化して収集する必要がある。このため、2019年度は当該データベースの構築を優先して進めた。今後はデータベースに基づいた分析を行いつつ、企業の経理担当者あるいは市場関係者を対象としたフィールド調査を進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に研究機関が変更になり、それに伴う研究環境のセットアップに時間がかかった。また年度末に予定していた調査等については新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて当初の計画を変更せざるを得なかったため、進捗状況は若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて企業の経理担当者あるいは市場関係者を対象としたフィールド調査の実施が困難になりつつある。そのため、アーカイバルデータを利用した実証分析等を先に進めたいと考えている。ただ、企業の実態を分析するためにも、なんらかの形でフィールド調査を実施したいと考えている。質問票調査の形式をオンラインで対応できる形式に変更するなど調査方法を工夫したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に研究機関が変更になったこともあり、研究のセットアップに時間がかかったために予算の使用計画に遅れが生じた。2020年度については効率的にデータベース化等の作業を進めるために謝金等を有効に活用する予定である。
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