研究課題/領域番号 |
19K01980
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
米谷 健司 立教大学, 経済学部, 准教授 (90432731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 税効果会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、税効果会計の注記情報を分析することにより、当該情報が投資家の立場から有用な情報であるのか否かを明らかにするとともに、当該情報から日本企業の税務計画(タックス・プランニング)の実態を浮き彫りにすることである。日本の税効果会計実務は、1998年10月に企業会計審議会から公表された『税効果会計に係る会計基準』と、その後に日本公認会計士協会から公表された実務指針をもとに行われてきたが、その後、2015年12月には企業会計基準適用指針26号『繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針』が公表され、さらに2018年2月には企業会計基準28号『「税効果会計に係る会計基準」の一部改正』や企業会計基準適用指針 28 号『税効果会計に係る会計基準の適用指針』などが公表された。こうした基準等の改正の背景には、財務諸表利用者が税効果会計の開示内容に満足していない現状があると考えられる。その結果、2015年以降の改正では、注記内容の充実化が図られており、評価性引当額や繰越欠損金の詳細情報が追加的に開示されるようになっている。そのほか、税効果会計の表示についても、これまでは繰延税金資産及び負債を流動項目と固定項目にそれぞれ区別して表示していたが、国際財務報告基準や米国の会計基準と同様に、固定項目の区分に一括して表示することになった。 既に2000年から2013年までの東証上場企業(個別決算のみ)を手入力によりデータベースを構築しているが、2019年度及び2020年度の研究においては分析対象期間を拡張し、直近のサンプルまでデータベースを拡充した。また、2019年3月期及び2020年3月期に決算情報を公表した企業を対象に開示内容の変化を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて企業の経理担当者あるいは市場関係者を対象としたフィールド調査等が行えておらず、進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究課題の最終年度であるが、当初予定していた企業の経理担当者あるいは市場関係者を対象としたフィールド調査等を前年度までに実施できていないため、研究の進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。ただし、税効果会計の注記情報のデータベースは構築できたため、それをもとにした研究成果を中心に発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて研究の進捗状況が悪く、また旅費等の使用も実質的に制限されていることから次年度使用額が大幅に増加した。当該助成金については、予定していたフィールド調査をオンライン調査に切り替えるための費用として使用したり、アーカイバルデータを中心とした分析を充実させるためにデータベース会社から追加的なデータを購入する費用として使用したりして、研究成果につなげたいと考えている。
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