研究課題/領域番号 |
19K01980
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
米谷 健司 立教大学, 経済学部, 准教授 (90432731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 税効果会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、税効果会計の注記情報を分析することにより、当該情報が投資家の立場から有用な情報であるのか否かを明らかにするとともに、当該情報から日本企業のタックス・プランニングの実態を浮き彫りにすることである。税効果会計の注記情報については、東証上場企業を中心にデータベースを構築し、それをもとに分析を行っている。また、税効果会計の注記情報に含まれる日本企業のタックス・プランニングの実態を明らかにするために、これまでに蓄積されてきた税負担削減行動の実証的証拠を網羅的に整理し、米谷・大沼・阪(2021)にまとめた。税負担削減行動に関する研究は年々増加しており、海外の主要雑誌に限定したとしても200本を超えるほどである。近年において米国企業の税負担削減行動が積極的になったと指摘されるが、それが統一的な見解とはいいがたいことが明らかとなった。飛躍的に増加する海外の研究に比べれば、税負担削減行動に関する日本の研究はまだ少ない。そのことは、日本企業が欧米企業と同じように積極的に税負担を削減しているとまでは言い切れないということと無関係ではないと考えられる。日本企業のタックス・プランニングの実態を明らかにするためには多角的に分析を行う必要があり、評価性引当額や繰越欠損金の詳細情報が追加的に開示されるようになった税効果会計の注記情報を手掛かりにすることには一定の意義があると考えられる。ただし、新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて研究の進捗が当初の計画よりも大幅に遅れており、研究期間を1年延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて必要な分析等ができておらず、進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて研究の進捗に後れが生じたことから研究期間を1年延長した。そのため、2022年度が本研究課題の最終年度となる。税効果会計の注記情報のデータベースを利用した研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延に伴う行動自粛の影響を受けて研究の進捗状況が悪く、また旅費等の使用も実質的に制限されていることから次年度使用額が大幅に増加した。当該助成金については、アーカイバルデータを中心とした分析を充実させるためにデータベース会社から追加的なデータを購入する費用として使用し、研究成果につなげたいと考えている。
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