本研究は,管理会計技法の普及ならびに継続的利用を通じた定着化に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている。そこで,東京証券取引所第一部上場企業を対象にしたアンケート調査を実施し,新旧の管理会計技法の導入実態(認知度,導入の有無,満足度,取りやめの有無,導入予定)を明らかにするとともに,管理会計技法の導入・定着化・改定・廃止という局面に対して,技術的要因ならびに外部的要因・制度的要因よりも,管理会計技法により提供される情報の性質(有用性・目的適合性・正確性)がより影響を与える傾向にあることを指摘し,また,因子分析を通じてそれぞれの局面における影響要因を析出した。
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