研究課題/領域番号 |
19K02012
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
|
研究分担者 |
新井 康平 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (30550313)
上田 英一郎 大阪医科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (40360036)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 管理会計 / 原価計算 / 病院管理会計 |
研究実績の概要 |
(1)グループレベルの業績管理情報の利用が個人レベルの認知、行動、パフォーマンスに及ぼす影響について、一つの病院を対象としたサーベイデータを使い、モデルの有効性について検証を行い、学術誌(Journal of Accounting & Organizational Change)に投稿することで研究アプローチの妥当性を評価した。その結果、業績管理情報を上司と部下との間で相互作用的に利用することは、グループレベルの相互作用的な利用方法が直接的にパフォーマンスに正の影響を与えるだけでなく、業績管理情報の相互作用的な利用方法が個人の心理的な自立性に影響を与え、先取的行動を通じてパフォーマンスに正の影響を及ぼすことが明らかになった。病院のように、高度な専門性と自立性をもつ専門職が従事している組織では、個人レベルの認知、行動がパフォーマンスにより大きく影響している可能性があると考えられるため、業績管理システムの有効性を検証するためには、個人の認知に関する変数を入れた分析モデルを設計する必要性が高いことが確認できた。 (2)インタビュー調査の進展が困難であることから、特定病院を対象としたデータ分析、WEBサーベイを使った調査を検討した。パフォーマンスの成果変数としては医療品質データを使用することの意義と可能性が明らかになったため、前者については大阪医科薬科大学病院の医療品質データに基づく分析、後者については、文献調査に基づきWEBサーベイの調査モデルの開発を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の調査は、医療従事者を対象としたインタビュー調査、特定病院における医療関連管理データの分析、 300床以上の総合病院を対象としたサーベイから構成されているが、本研究調査企画時点において協力を得ることができると考えていた医療機関、医師から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を理由とする協力辞退があり、計画通りに進展していない。2020年半ば時点では、状況の改善傾向がみられたが、後半になり状況が再度悪化したため、研究方法の一部変更(WEB、オンライン調査の活用)を検討した。
|
今後の研究の推進方策 |
アンケート調査は、WEBサーベイに変更し、質問票の設計を終えた。2021年度前半に実施予定である。インタビュー調査については、病院ごとではなくオンライン(遠隔)調査に対応できる個別の医師を対象にし、一部調査を開始している。大阪医科薬科大学病院における医療品質データ(インシデントデータ)の分析を進め、医師のパフォーマンスを評価するための指標の選定、評価シートの開発を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査、学会報告に関する旅費が発生しなかったために差額が生じた。2021年度には、インタビュー調査による旅費の発生、研究方法の一部変更に伴うWEBサーベイなど、追加的な経費が見込まれるため、差額が解消される予定である。
|