これまで会計研究の領域では、社債の信用力評価における財務情報の役立ちはあまり注目されてこなかった。しかしながら、会計基準が想定する投資家には株式投資家だけでなく社債投資家も含まれる。こうした事実を踏まえると、社債投資家の視点に立った研究を進めることは、学術的な知見の幅を広げることが期待できる。加えて、長らく続いた超緩和的な金融環境下において、社債投資家のリスクテイク姿勢は強まっていたが、今後は金利が息を吹き返す投資環境に変っていくことが予想される。徐々に企業倒産も増えつつある中、信用力評価の手法を改めて構築、改善していくことは、実務的、社会的にも意義が見い出せる。
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