研究課題/領域番号 |
19K02021
|
研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
金子 良太 國學院大學, 経済学部, 教授 (80350411)
|
研究分担者 |
大塚 宗春 早稲田大学, 商学学術院, 名誉教授 (60063749)
川村 義則 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 教授 (60247244)
福島 隆 明星大学, 経営学部, 教授 (80339671)
若林 利明 上智大学, 経済学部, 助教 (80705666)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 公会計 / 政府会計 / 少子高齢化 / 非営利組織会計 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、主として米国・英国の非営利組織会計の最新状況について、調査・研究を行った。また、新たな取組としては、社会福祉法人のインタビュー調査や、少子高齢化により大きな問題になっている年金会計についても、新たに研究を開始している。 研究分担者は、まず「統一的な基準による地方公会計マニュアル」における債権の会計処理や開示規定を整理したうえで、このマニュアルに基づいて作成された2017年度(平成29年度)の地方自治体の連結財務書類を用いて実態調査を行った。その結果、固定資産の部に計上されている長期延滞債権は金額的にも多いことが明らかになり、長期延滞債権に対して減損処理を適用する余地はあると考えた。そして、日本の公会計基準に予想信用損失モデルを採用するとしても、まず企業会計基準(金融商品に関する会計基準)の整備が必要であると考えるとともに、状況に応じて予想損失を測定するモデルを変えるという方向性もあり得ることを指摘した。 その他、法人形態の変更(営利組織の非営利化、非営利組織の営利化、民営化、公営化)が、会計情報の質や経営の自由度に応じて生じる可能性について、エイジェンシー理論に依拠した数理モデルを用いて検討した。これは、会計基準設定主体に対する示唆を与えるとともに、法人形態の変更に関する議論に新たな視点を与える。研究成果は英文ワーキングペーパーとしてまとめ、来年度以降国際学会等に投稿していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、ほぼ研究計画通りの研究を遂行し、研究代表者および研究分担者は当該テーマに対する学会報告や論文発表を行ってきた。covid-19の影響で、2020年2月以降、早稲田大学における研究会の開催が中断した状況である。研究会については、ビデオ会議システムやメールを利用することにより継続的に科研費の研究を進めていく体制を整備し、 2020年5月に研究会を再開している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究も、科研費申請当初の研究計画に沿う形で、それぞれの研究者の得意分野を活かしながらそれぞれで論文を書き進めていきたい。研究代表者および分担者の得意領域はそれぞれ異なっているため、多様な立場から毎月1回程度早稲田大学へ集合して、研究の進捗報告を行っていきたい。当初研究計画時点では予想されていた海外訪問や、各種インタビュー調査は、COVID-19 の影響で中止またはキャンセルが避けられない状況である。しかしながら、実行できなくなったインタビュー調査や実地調査に代えるものとして、web会議システムなどを効果的に活用し、これまで以上の頻度で研究代表者・分担者の研究進捗報告をしっかり行っていきたい。海外訪問は延期せざるを得ないが、2021年度においても実施できない場合には、各種文献調査等への研究方法の変更を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は、親族の不幸により科研費による出張を取りやめたケースがあったほか、2.3月に予定していた国内出張3件が新型コロナウイルスの影響で取り消しとなったため、旅費の支出が生じなかった。このため、年度当初の予定と比較して実支出額が大幅に少なくなった。使用計画としては、物品費についてはほぼ研究計画に沿った支出が見込まれる。旅費については、学会等が開催される限りは出張を予定するものの、5月時点では学会等の再開が不明確であり、今後も多くの学会や調査出張が延期された場合には、2020年度においても旅費の支出額は計画を下回る見込みである。
|