研究課題/領域番号 |
19K02022
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
海老原 崇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00367129)
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研究分担者 |
赤塚 尚之 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30386536)
梅澤 俊浩 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60350360)
池村 恵一 流通経済大学, 経済学部, 教授 (70409621)
成岡 浩一 専修大学, 商学部, 教授 (90308172)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メインバンク関係 / 地域銀行 / 会計行動 / 配当行動 / 貸倒引当金 / 監査 / IFRS |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの目的は、(1)メインバンク関係が融資先企業の会計行動に及ぼす影響を明らかにすること、および (2)メインバンク関係を通じて融資先企業に影響を与えうる銀行の会計行動について明らかにすることであった。2019年度は、研究実施計画どおりに、「MB関係データベース」の作成、文献サーベイおよび分析モデル構築を主として行った。データベース完成までの進捗状況は60%程度であり、2020年度も引き続きデータベース構築を続ける予定である。文献サーベイと分析モデル構築はほぼ予定通りに進捗している。加えて、研究遂行に必要となる基礎研究についても複数行った。 この他、研究目的(1)に分類される「メインバンク関係と融資先企業の配当政策」に関する研究を行った。債権者かつ株主である日本のメインバンクは、融資先企業に対して強い交渉力を持つため、融資先の配当政策に影響を及ぼしうる。 Lintner(1956)モデルに基づいて分析を行った結果、メインバンク関係は、概して融資先企業の配当平準化を緩和させるとともに、目標配当性向を低下させる証拠が得られた。研究成果は、日本会計研究学会(JAA)の年次大会で発表し、ワーキングペーパーも発行している。 また、研究目的(2)に分類される「監査人の規模が地域銀行の貸倒引当金に及ぼす影響」に関する研究も行った。1998年度の早期是正措置制度の導入に伴って、資産査定と償却・引当制度が変更され、外部監査機能は本格的に監督メカニズムの一部に組み込まれたものの、地域銀行業における監査事務所の属性と貸倒引当金との関係の分析はこれまで行われていなかった。本研究の分析結果から、中小監査事務所に比べると、大手監査事務所は顧客銀行に対して要管理先の貸倒引当率を保守的に見積もるように影響を及ぼしていることが示唆された。研究成果は、執筆者の所属する大学の紀要に収録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画において、2019年度は「MB関係データベース」の作成、文献サーベイおよび分析モデル構築を主として行う予定であった。「MB関係データベース」作成の進捗は60%程度であるものの、本研究プロジェクトの目的(1)および(2)に分類される論文をそれぞれ1本執筆するとともに、研究遂行に必要となる基礎研究についても複数行うことができた。以上の点から、本研究プロジェクトの進捗を「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、前年度に引き続き「MB関係データベース」の構築を行う他、当初の研究計画に則って予定されている論文執筆作業を行う。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、研究代表者・分担者はオンライン授業の準備等で多忙な日々が続いている。2019年度のような計画以上の研究の進捗は期待できないが、計画通りに研究が行えるように各自努力したい。また、各都道府県に対する緊急事態宣言の発令を受け、研究会の開催が難しい状況にある。この点は、ZoomやSkype等の遠隔会議ソフトウェアを活用し、オンラインで研究会を行うことで補いたいと考えている。 2020年度は、申請メンバーが所属するJAA、日本経営財務研究学会(JFA)、日本経営分析学会(BAA)等の年次・地区大会で学会報告を行う予定であった。しかしながら、こちらも新型コロナウイルス感染拡大と、これに起因する各都道府県における緊急事態宣言の発令により、大会の中止や延期が相次いで発表されている。一部の大会がオンラインで行われるとのアナウンスが行われているため、機会を見つけて研究発表を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部予定していた出張が中止されたために残額が生じている。2020年度に資料調査または出張旅費の一部として使用する計画である。
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