本研究は、組織形態(株式会社等営利法人、市役所等公的組織、公益法人等民間非営利法人など)によって補助金の会計的取扱いが異なる原因について、これまで各組織形態の設立経緯や目的・果たすべき役割が異なるからだという一般的な説明にとどまっている点を課題とし、法律的(民法、補助金適正化法、行政法、財政法など)の見地、会計的概念(収益、負債、純資産など)の見地、及び利害関係者(所轄庁、組織経営層、資源提供者、業界関係者など)の意向という多角的な側面から検討することにより、補助金の本質を究明しようとするものである。 当初は3年の研究機関を予定していたが、新型コロナ感染症の影響により実務者や隣接領域の研究者等との意見交換・資料収集が限定的にとどまったため、及び新型コロナ感染症関連の補助金の種類・金額が拡充された動向も踏まえるために、研究期間を延長し、内容の充実に努めた。とりわけコロナの影響が大きかった福祉分野の事例につて重点的に取り上げるなど工夫した。 コロナの影響は一定程度継続しているが、ZOOMの活用が浸透してきたことなどにより地方実態調査(ヒアリング)を比較的スムーズに行うことができた。また学会(会計学会、社会福祉マネジメント学会、非営利法人研究学会、日本社会関連会計学会など)活動も平常化してきた(オンライン開催の併用など)ので積極的に参加した。 これらの活動の成果の一部は、次項に記載したとおり、学会発表2回(うち1回は統一論題座長としての解題とそのまとめ)、研究論文1稿(現在投稿中。6月発行予定)として発表している。
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