研究課題/領域番号 |
19K02039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森屋 淳子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00550435)
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研究分担者 |
冨澤 康子 東京基督教大学, 共立基督教研究所, 協力研究員 (00159047)
後藤 理英子 熊本大学, 病院, 病院教員 (80748020)
大谷 尚 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特任教授 (50128162)
柳元 伸太郎 東京大学, 保健・健康推進本部, 教授 (30463889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フィンランド / 医師の働き方 / ジェンダー意識 / 子育て支援 / ワーク・ライフ・バランス / ダイバシティ / 参与観察 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
日本では,医師の自己犠牲的な長時間労働による健康障害や,女性医師の子育て期の就業率低下(M字カーブ)が問題となっており,「医師の働き方改革」が推進されている.一方,女性医師比率が過半数(58%)のフィンランドでは,子育て期の女性医師の就業率低下は認められず,世界トップレベルの質の高い医療が提供されている.本研究の目的は,フィンランドで働く女性医師の子育て期における就業率低下が認められない要因を明らかにし,日本の女性医師への就労継続支援の課題と方向性を明確にすることである.今年度の成果は以下の3点である. 1.前年度に引き続き,インタビューで得られたデータを元に,フィンランドの女性医療職における「仕事と子育ての両立"非"困難感」の要因について質的解析を進め,第12回 日本プライマリ・ケア連合学会学術集会にて発表を行った. 2.上記1で得た知見に加え,フィンランドの医療制度・医療提供体制について知見を深め,北ヨーロッパ学会2021年度研究大会の北欧における女性医師のワーク・ライフ・バランスに関する専門分科会や,日本女性外科医会の第28回勉強会で,研究成果に関する発表を行った. 3.上記2で得た知見に加え,フィンランドの女性医師活躍推進の歴史的背景について知見を深め,論文の投稿準備を行った. なお,2020年4月に予定していたがCOVID-19の影響により中止・延期となった就労継続・キャリア形成支援に関わる施設の現地調査は,2021年度も実施できなかったが,代わりにオンラインを利用した情報収集・意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年4月に予定していたがCOVID-19の影響により中止し,2021年度以降に延期となった就労継続・キャリア形成支援に関わる施設の現地調査は,2021年度も実施できなかった.しかし,オンラインを利用した情報収集・意見交換により,フィンランドの医療提供体制や女性医師活躍推進の歴史的背景に関する知見を深めることはできた. また,フィンランドで働く女性医師の子育て期における就労継続の背景要因に関する研究成果を学会で発表し,学会誌に投稿することができた.
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19やロシア・ウクライナ戦争の状況が許せば,フィンランドでの現地調査を実施する.現地調査の実施が難しい場合には,日本の女性医師のキャリア形成促進・阻害要因についての研究を進展させたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予算計画では旅費を主として見積もっていたが,COVID-19の影響で,学会出張やフィンランドでの現地調査がキャンセルとなったため,次年度使用額が生じた. 次年度は状況が許せば現地調査費に充てる.また,論文投稿費にも充てる.
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