研究課題/領域番号 |
19K02047
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
後藤 悠里 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (70750199)
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研究分担者 |
土屋 葉 愛知大学, 文学部, 教授 (60339538)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 障害者権利条約 / 総括所見 / 香港 / 韓国 |
研究実績の概要 |
今年度は、香港および韓国における障害女性の置かれた状況を明らかにすることを目的として、国連による審査をめぐって提出された文書16本を分析した。これらの文書の中には、政府や障害者団体が提出した文書が含まれており、香港および韓国の現状を幅広く、また、多角的な視点から明らかにすることができると考えられるためである。 香港については、障害女性は暴力の被害を受けていたり、性に関するニーズを無視されがちであったりする。また、施設へのアクセシビリティの欠如や意思決定場面への関与の不十分さが障害者団体の報告書において言及されている。また、データの不足により障害女性の現状が把握できないことが、問題が改善しない根本原因であることも示唆された。さらに、分析の結果として、香港政府が複合差別への認識を欠いていることも述べた。 韓国については、障害者団体の報告書が以下の点を述べている。障害女性が暴力の被害を受けていること、既存の法律に限界があること、予算が不足していること、暴力の蔓延と調査の不十分さ、低賃金などである。また、香港と異なる韓国独自の点として、強制不妊手術が続けられていることが挙げられていた。 申請者らが行った日本における調査でも、障害女性への性暴力が深刻な状況にあることが示されている。つまり、障害女性の困難については、香港、韓国、日本において共通点が存在することが明らかになった。本研究の目的は、日本との比較であり、この点は研究プロジェクト全体の一つの知見である。 また、香港および韓国の状況に詳しい専門家に調査の依頼を進めるとともに、アンケート調査の設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国連による審査をめぐって提出された文書の分析を通じて、香港および韓国の現状を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に行った現状の把握を踏まえて、今後は、補助的なインタビュー調査を行うとともに、アンケート調査を通じて、政策の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査が未着手だったため、次年度使用が生じた。次年度はインタビュー調査およびアンケート調査を行う。
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