研究課題/領域番号 |
19K02049
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
高田 知和 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (70236230)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域史誌 / 郷土史 / 地域史 / 歴史意識 / 地域社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、「郷土史の現状と今日的課題」の検討を通して「地域社会における歴史意識」を明らかにすることが目的である。 しかしながら、他の多くの科研費研究でも同じだと思われるが、本研究においても今年度においてはコロナ禍の影響が極めて甚大であった。というのも、交付申請書の「研究経費とその必要性」欄にも「本研究において圧倒的に多いのは国内旅費である」と書いたように、交付申請書に書いた調査地域に対して、郷土史ならびに郷土史団体の調査に出掛けることがほとんど出来なかったからである。かろうじて行なったのは既存の文献の読解と、書簡や電子メールを通じてのやり取りであった。 他方で、コロナ禍は思いもかけず本研究に対して大きなテーマを新たにもたらすことにもなったと考えられる。それは、郷土史団体に集う人たちの高齢化や会員の減少、活動の停滞など、これまで郷土史や郷土史団体が抱えていた問題点がより一層浮き彫りになったことであり、このような事態に対してどう対処していくことができるかという今日的課題を生ぜしめたことである。とはいえ、ある程度通常通りの活動成果を出すことのできた郷土史団体もあり、現時点ではその結果はまだ分からないので、この点は研究の視角に加えて考えていくこととしたい。また、郷土史の現状と並んで本研究で着目してきた地域史誌の編纂も、コロナ禍にもかかわらず幾つかの地域に見られたように地道にまとめたところも見られた、この点に鑑みてもコロナ禍による影響には地域差があったようである。 次年度以降は、これらの点も配慮して実績を上げていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」欄でも書いたように、本研究の目的は国内の諸地域において郷土史研究とそれを担ってきた郷土史団体を調査すること「地域社会の歴史意識」を検討していくことであり、その方法は現地に直接出かけて行くフィールドワークにあった。ところが、コロナ禍のためにそうした地域間を大きく跨って移動し、直接ひとと接触して調査することが出来なかった。 加えて、緊急事態宣言などの影響で各地の公共図書館や文書館なども閉鎖されていたために、文献調査も滞らざるを得なかった。 本研究が「遅れている」と判断せざるを得ないのは、ひとえに以上の理由からであるといってよい。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が容易に収まることがあまり期待できない現状とあっては、それを見据えて感染対策を取ったうえで研究を進めていかざるを得ない。したがって、実際のフィールドワーク等が可能となった際には、移動、ひととの接触、施設利用等に注意を払いながら調査を進めていくことにする。 また、交付申請書には明記していなかった郷土史団体も検討に入れて考えていきたい。特にその場合、長距離の移動を伴わない地域―申請者は東京在住のためとりわけ関東近県―の活動も視野に入れることを考えている(成果はまだ上がっていないが既に取り組んでいる地区もある)。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」「現在までの進捗状況」欄でも書いたように、本研究にとって最も大きな支出予定はフィールドワークのための国内旅費であった。それが、コロナ禍のために調査行がいっさい出来なかったために「次年度使用額」が大幅に生じた。加えて、前年度においても申請者の体調不良が重なったために調査を自重していた面もあった。今年度に遅れを取り戻すつもりでいたところにコロナ禍が重なったために、「次年度使用額」も大きくなってしまった。
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