研究課題
基盤研究(C)
難民の本国帰国の可能性が広がり始めた「ポスト難民期」において、難民はいかなる移住戦略を発達させるのか。滞日ビルマ系難民の事例からは、1つに移住者と非移住者とを区分する帰国者アイデンティティの形成が見られたこと、2つ目に難民家族が日緬両国で家族構成員の配置を再考していること、3つ目に出移民国側では海外同胞の経済・政治的影響力を考慮したディアスポラ政策を展開していることを明らかにし、難民の移住過程が帰国をめぐり複層的な水準で大きく変化していることが見出された。
国際社会学
本研究を通じ、「ポスト難民期」と概念化した本国への帰国可能な移住条件がもたらす難民の移住過程への影響を、複層的な水準から実証的に明らかにすることができた。難民を帰国できないものと固定化することなく、新たな移住戦略の展開可能性を見通す研究成果が得られたことは大きい。他方で、2020年の軍事クーデターの発生から「ポスト難民期」の脆弱性も明らかとなり、再び帰国可能性が狭まる「再難民期」と捉えることで、難民の移住過程の長期的な展開をさらに追及していく。