研究課題/領域番号 |
19K02067
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
石崎 直人 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (90212878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 鍼灸治療 / 全国調査 / 利用状況 / 満足度 / 意識調査 / 新型コロナウイルス |
研究実績の概要 |
我が国における鍼灸治療の利用状況と利用者の意識について全国調査を企画した。2020年度までの実施計画期間中に深刻化したCOVID-19の影響を積極的に調査に盛り込み、2021年4月に、以下の項目を中心とした調査を実施した:①鍼灸治療経験、②治療を受けた施設の種類、③治療の目的、④治療に満足した症状、⑤利用のきっかけ、⑥過去1年間の鍼灸治療費用、⑦今後の継続意向と理由、⑧経験者の継続や再受療意向へのCOVID-19の影響と実態、⑨治療未経験者に対して未経験の理由と今後の受療意向へのCOVID-19の影響、⑩鍼灸以外のCAMの受療状況、⑪過去1年間の医療費及び市販薬にかけた費用などとした。対象としたサンプル数は4,000で、有効回答数は1,207(30.2%、男性572名、女性635名、平均年齢55歳)であった。主要な単純集計結果は以下の通りであった。1年以内の鍼灸受療経験を有する者は、51名(4.23%)、セルフケアも含めた過去全体の利用経験者数は243名(20.13%)であった。経験者243名の治療目的は、腰痛が132名(54.32%)で最も多く、次いで肩こり(90名、37.04%)、膝痛(34名、13.99%)で、これらの症状に対する鍼灸治療に満足した者の割合は、腰痛で64%、肩こりで70%、膝痛で68%であった。治療経験者に、COVID-19の影響について尋ねた結果、全く気にならないと回答した者は22名(19.3%)、少し気になるが治療を継続したいと回答した者は50名(43.9%)、状況によって受療を判断すると回答した者は25名(21.9%)、当面は治療を受けないと回答した者は16名(14.0%)であった。また実際に受療回数を減らしたり中断した経験を有する者は45名(18.5%)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施計画期間中に深刻化したCOVID-19の蔓延が、鍼灸治療利用に及ぼした影響に関する内容を積極的に調査に盛り込むこととなった結果、調査実施時期が当初計画から遅れることとなった。調査結果入手後の解析は、各項目の単純集計まで完了したが、調査項目に変更が生じた影響もあり、クロス集計と多変量解析は予定より遅れている。また、2022年度のCOVID-19の感染状況を見極めつつ、追加調査の実施を視野に入れているため期間を延長して解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
各調査項目のクロス集計と多変量解析を実施し、鍼灸治療利用者の満足度と各項目の関連性を検討する。また、COVID-19の影響について、利用者の背景因子との関連を含めた解析を実施し、必要に応じて、感染状況を見極めた上で、追加調査の実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本事業の主要経費である全国調査費用が当初予定より少なく実施できたこと、及びCOVID-19の影響により、研究協力者との会議を全てオンラインで実施したことによる旅費交通費の削減などが主な理由である。
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