研究実績の概要 |
我が国における鍼灸治療の利用状況と利用者の意識に関する全国調査を実施した。2021年4月に、以下の項目を中心とした調査を実施した:①鍼灸治療経験、②治療を受けた施設の種類、③治療の目的(症状)、④治療に満足した症状、⑤利用のきっかけ、⑥過去1年間の鍼灸治療費用、⑦今後の利用意向と理由、⑧経験者の継続や再受療意向へのCOVID-19の影響と実態、⑨未経験者に対して未経験の理由と今後の受療意向へのCOVID-19の影響、⑩鍼灸以外のCAMの利用状況、⑪過去1年間の医療費及び市販薬にかけた費用などとした。対象としたサンプル数は4,000で、有効回答数は1,207(30.2%)であった。1年以内の鍼灸受療経験を有する者は4.2%、セルフケアを含めた過去全体の利用経験者は20.1%であった。経験者の治療目的は、腰痛が54.3%で最も多く、次いで肩こり37.0%、膝痛14.0%で、これらの症状に対する鍼灸治療に満足した者の割合は、腰痛64%、肩こり70%、膝痛68%であった。治療経験者のうち、今後の利用意向を有する114名に、COVID-19の影響について尋ねた結果、「全く気にならない」と回答した者は19.3%、「少し気になるが治療を受けたい」と回答した者は43.9%、「状況によって判断する」と回答した者は21.9%、「当面は治療を受けない」と回答した者は14.0%であった。また、過去に経験を有する243名中、実際に受療回数を減らしたり中断した経験を有する者は18.5%であった。さらに、2022年8月の追加調査(有効回答率30.0%)において、過去に鍼灸治療経験を有する216名を対象としてCOVID-19の影響を尋ねた結果、「全く気にならない」が28.7%、「少し気になるが治療を受けたい」が24.1%、「状況によって判断する」が14.4%、「当面は治療を受けない」が20.8%であった。
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