研究課題/領域番号 |
19K02069
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鶴田 幸恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00457128)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | トランスジェンダー / 活動家 / インタビュー |
研究実績の概要 |
インタビュー調査が、コロナ禍でどのように可能であるかは、多くの研究者が関心を寄せていることであり、本調査研究が実際に、それにどのように取り組むのかは、研究の進展上、またこれからの調査研究のありかたを考えるうえで、重要性がある。今年度の本研究では、コロナの感染拡大状況を見ながら、試験的に二回のインタビューを対面で行い、コロナ禍でも、状況によっては、対面でのインタビュー調査が可能であることがわかった。しかし、そのうちの1ケースは、マスクをしながら行っており、エスノメソドロジー・会話分析において、視線の動きが顔の表情なども分析するという観点からは、どのような影響があるか、今後分析を進めていきたい。 これまでの手持ちのデータの分析では、日本のトランスジェンダー活動家に対し、かつて行ったインタビューを再分析し、それによって、トランスジェンダーという現象の記述を行った。それは、新しい分類が生まれては、書きかえられ、消えていく、という現象であり、そういうループ効果の中に、当事者たちが居て、だからこそ、自分が何者であるかを理解可能にする語り方の中に、トランスジェンダー現象が、どういう現象かということが、エンボディされている。トランスジェンダー現象の記述とは、「カテゴリー間の差異や類似性を語りながら、カテゴリー同士をマッピングすることで、アイデンティティを理解可能にする実践の記述」なのだと結論付けた。 そのなかでは、具体的には、性別秩序に対抗するカテゴリーのセットの中の要素として、トランスジェンダー・性同一性障害・ノンバイナリー・フェミニストが割り振られ、様々なトランスジェンダーの下位カテゴリーとフェミニズムのラディカルさを、共通のものとして位置付ける実践が描かれた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本調査研究では、今年度二回の対面でのインタビュー調査を行ったが、コロナウイルス拡大の状況を見ながらになり、また、活動家によっては、持病があり、会うこと自体が困難だったりしたため、調査の進行は遅れている。その分、データの分析をすることで調査研究の進捗をより良いものにすることで、現状ではカバーできているが、今後の感染拡大の状況によっては、難しい局面に立ちそうである。
|
今後の研究の推進方策 |
手持ちのデータで分析を進める。何人にインタビューするか、よりケース数を集めたほうが良いのかは、本研究が依拠するエスノメソドロジー・会話分析の立場からすると、本質的ではないので、ともかく、すでにあるデータの分析を進め、成果を上げていく。現在、再び感染が拡大しており、本年度もインタビューのケース数を増やしていくことは、現実的ではなさそうである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによる感染格段により、今年度の予定を来年度に行うため。
|