研究課題/領域番号 |
19K02072
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
鈴木 健之 立正大学, 文学部, 教授 (90310234)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 核家族 / 二核家族 / よい離婚 |
研究実績の概要 |
本研究は、タルコット・パーソンズの「核家族」概念がコンスタンス・アーロンズ=ロイ・ロジャーズの「二核家族」概念によってどのように相対化されていったのかを理論社会学的・知識社会学的に明らかにすることを目的としている。 本年度、まずは「家族・離婚研究アーカイブズ」の構築作業を行った。アメリカと日本における主要な家族・離婚研究の文献を収集することができた。次に、主要なパーソンズの家族社会学的研究、『家族』(1955)と『社会構造とパーソナリティ』(1964)を訳書を参照しつつ原典で精読した。そして、アーロンズ=ロジャーズ『離婚家族』(1986=1991)とアーロンズ『離婚は家族を壊すか』(2004=2006)を訳書を参照しつつ原典で精読した。それと同時に、翻訳出版を予定している『よい離婚』を再び精読し訳稿を完成させた。『よい離婚』は予定通り、次年度出版を予定している。 近年のアメリカにおける結婚・離婚事情については、研究協力者のToca Murakami氏と、また日本における結婚・離婚事情については、『よい離婚』の共訳者となる濱野健氏と集中的な討議を行った。 本年度、一連の理論研究を通じて、「核家族」概念と「二核家族」概念の理論的意味・意義を精査することができた。また一連の集中的討議を通じて、「アメリカ化する日本の結婚・離婚」と「アメリカ化しない日本の結婚・離婚」という経験的に重要な論点を再確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「家族・離婚研究アーカイブズ」の構築が少々遅れたものの、年度内に完了することができた。パーソンズとアーロンズ=ロジャーズの基本文献については、立正大学大学院生諸氏と一緒に読み進めたおかげで主要著作を精読することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アーロンズ=ロジャーズの一連の離婚の社会学的研究、『離婚家族』、『よい離婚』、『離婚は家族を壊すか』の精読は終わっているので、令和2年度は「二核家族」概念についてより理論的な研究を行う。 (2)『よい離婚』については令和2年度内の刊行をめざす。 (3)令和2年度夏にアーロンズ=ロジャーズへのインタビューを予定していたが、今回のコロナ禍により渡米が難しい状況にあるので、オンラインでのインタビューへの変更を検討している。 (4)令和3年度に予定した「よい離婚」、「わるい離婚」の知識社会学的考察については令和2年度後半に前倒しして行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定したパーソナル・コンピュータが立正大学より支給され不要になったことによる。この差額については「家族・離婚研究アーカイブズ」の充実を図るべく図書購入費に充てたい。
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