研究実績の概要 |
本研究は、タルコット・パーソンズの「核家族」概念がコンスタンス・アーロンズ=ロイ・ロジャーズの「二核家族」概念によってどのように相対化されていったのかを理論社会学的・知識社会学的に明らかにすることを目的としている。 2020年度は、夏に渡米し、アーロンズ氏と「二核家族」概念と「よい離婚」について集中的な討議を行う予定であったが、今回のコロナ禍につき計画が遂行できなかった。また、本年度中にアーロンズ氏の『よい離婚』の翻訳出版を予定していたが、今回の集中討議を収録する予定であったため、出版の延期を余儀なくされた。 本年度は、こうした事情から当初の予定を変更し、2021年度前半に予定していた「アメリカにおける離婚に関する先行研究」、アーロンズの論敵、ジュディス・ウォーラースタインの主要著作の精読を行った。全米ベストセラーとなった『セカンドチャンス:離婚後の人生』(Second Chance: Men, Women and Children, A Decade After Divorce, 1989. 邦訳あり)、『それでも僕らは生きていく:離婚・親の愛を失った25年間の軌跡』(The Unexpected Legacy of Divorce, 2000. 邦訳あり)、『離婚とこども』(What About the Kids?, 2003. 邦訳なし)を精読し、ウォーラースタインの言説分析を集中的に行った。ウォーラースタインの議論との比較検討において、昨年度、大学院のセミナーにおいて講読した、アーロンズ『離婚は家族を壊すか』(We're still family, 2004.邦訳あり)も再読した。 本研究成果の一部は「『核家族』概念と『二核家族』概念再考――タルコット・パーソンズとアーロンズ=ロジャーズ――」(『立正大学人文科学研究所年報』第58号2021年3月)として公表した。
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