研究課題/領域番号 |
19K02073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
荻野 達史 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (00313916)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ひきこもり / ひきこもり支援政策 / 政治改革 / 行政改革 / 内閣府 / 地方分権改革 / 地方自治体 / 地域精神保健 |
研究成果の概要 |
ひきこもり支援政策が開始されて20年経過したが、非常に多くの人々が公的支援を受けられることなく取り残されてきた。その直接的な理由は、公的支援が就労支援策に偏重してきたこと、そして支援資源の地域格差が大きかったことに求められる。しかしその背景には1990年代より進行した政治改革、とくに行政改革と地方分権改革がある。前者によって政治主導の象徴として設置された内閣府は、ひきこもりを当初厚労省が計画した地域精神保健で対応する問題としてではなく、若者就労問題に読み替えた。地方分権改革は、厚労省による全国一律の対応を弱化させ、同時に地方自治体の財政力を削いだことで後発問題への対応をより困難なものとした。
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自由記述の分野 |
社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ひきこもり問題と「政治改革」との関係を検討することで、これまで関連研究では等閑視されてきた、支援政策についての政治過程論的な理解を進めたものである。就労支援への偏重は新自由主義的なものとして多々批判され、地域格差についてはごく一般的な問題として認識されてきたといえよう。しかし、それらは政治制度の変動から生じている部分もあり、それを理解することで状況の変革を図る緒も掴めよう。 また逆に、本研究は「政治改革」のもたらした問題を読み解くための事例研究ともなっている。このことは、今後も生じてくるであろう、とりわけ各地域での対応を必要とする諸問題を想定すれば意義のあるものといえよう。
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